見果てぬ夢

「見果てぬ夢」と言えば、はっきり言って「可能とは思えない」という属性がついてまわるわけでありますが。
今回広島現代美術館にてとても興味深い企画展をやっているというので強行日帰りで行ってみました。「戦後日本伝説住宅」という、日本、いあや世界的に有名になった建築家たちが設計した住宅を紹介した企画展です。
新進気鋭の若手が実際に建築設計に携わり自己の作品として発表するには、お金の問題がついてまわる。パトロンがつけばそれに越したことはないが、そこまで惚れ込んでくれる財産家を得るのも稀有なこと。規模から言ってもお金の出所から言っても「自宅」とか縁者の自宅設計という成り行きになるのも自然のことでしょう。

というわけで、建築家の代表作として有名になった「住宅建築」が戦後の世相も眺めつつ見れるというたいへん面白いものでありました。自分、このジャンルの話が好きでしてここに展示されていた16件のうち殆どをどこかの本で知ってはいたのですが、大画面スクリーンに映し出される写真はやっぱり写真集とは迫力が違います。

デイスプレイで見るインタビューなどのVTRも興味深かったのですが、さすがに黒川紀章のカプセルタワービルの工事映像37分見ていたら大変なのでゆっくりもみていられず。といいつつ二時間弱かけてみたもので見終えた途端にトンボ帰りとあいなりました。やっぱり広島は遠いや。

相当奇抜なものもありますが、住んでみたい家は清家清の「わたしの家」と増沢の「コアのある家」。ほんとに居心地良さそうです。安藤忠雄住吉の長屋にはこころ動きますが、膝が悪くなると階段が辛いし。

あれこれ建築関係では有名な住宅ばかりではありますが、ここまで「特集」になっている本は少ないもので思わず解説本まで買ってしまいました。

なぜこんなにこの手の本が好きなのかと考えつつ、やはりこんな家に住んでみたいというのが「見果てぬ夢」。ということは実現不可能なということでもありますが。大方の家年取ってこんな家に住むのは多分辛いです。お金のことばかりではなく。「反住器」という家を息子に建ててもらったお婆ちゃん。無機質、ガラス張り、パイプ階段ありの鉄製の箱のような部屋で白髪蓬髪の姿で床にぺたりと座り込んでお茶でも飲んでいるらしき写真がありますが。そりゃ酷いんじゃないか、と毎回思ったりするのでした。

おっ1そうそう。二枚目の写真の壁際に置いてある椅子、ばかに洒落ていると思ったらマッキントッシュだそうです。展示室に実物が置いてありました。すごいフォルムというかデザインというか、置いているそこだけ空間が違って見えた。