風花

審判 (ハヤカワ・ノヴェルズ)  風花


「審判」(Silks)   デイック・フランシス&フェリックス・フランシス   早川書房  ISBN:9784152089861 C0097

「風花」  川上弘美   集英社  ISBN:9784087712070 C0093


中盤以降ちょっともたついた感じがしたが、問題なし。「裁判」のシステムについて興味深い智識を得る事が出来るといういつものお約束(作品を読む度にそこに有益な情報が含まれている)が組み込まれた作品。
最近話題になっている日本の裁判制度を考える上でも有益かもしれない。裁判を舞台にした作品ではアガサ・クリステイーにも有名な作品があるけれども。パーカー・パインやペリイ・メイスンを読んでいた頃には、日本にもこんな時代がくるとは想像していなかったなあ。そういえば、この本の主人公は姓のおかげでまともに名前を呼んでもらえないのだった。ははは。
なんだかだと云いながら一晩で読んでしまった訳で、おかげで午前様。眼が潰れるぞ、と昔言われていたっけ。

川上弘美を読んで「感想」を書くのはどうも難しい。いつものことながら。先日「谷山浩子」が出演しているラジオドラマ「神様」を聞くともなしに聞いていて、「神様」を読了かどうか思い出せず。梨木香歩の「家守綺譚」と一瞬ごっちゃになったが、よおく考えると似て非なる作家さんたちなのだった。茫洋とした性格の「のゆり」さんのお話。ひらがな三文字の名前はときおり文章のつながり工合を読み間違えやすい。

昨日事務所の流しで電気ポットの湯を保温用のポットに移そうとしたら「あなたがやると危ない」と制止された。
考えると(考えないと思いつかないところが自分らしいが)非常にヒトを馬鹿にした言い方であるとずっと不愉快さが続いている。そりゃあ、危ないと思う。その制止したおばさんはいつも広口のポットを傾けて細口のポット口に一気に湯をあける。
自分はいつも電気ポットのボタンを押して地道に注いでいる。そのどこが「危ない」のか理解できない。
ああ、三月病である。いつもは「うそ、いつわり、誇大妄想」の人間についていちいち気に留めないのだが。春めいて来るとこころがささくれ立って来る。