記者魂

IT帝国の興亡 スティーブ・ジョブズ革命 記者魂 ((ハヤカワ・ミステリ1849)) アンダー・ザ・ドーム 上 向田邦子の陽射し



「IT帝国の興亡ーステイーブ・ジョブス革命」村山恵一 日本経済新聞出版社 ISBN:9784532314682 C0034

「記者魂」 ブルース・ダルシヴァ  早川書房 早川ポケットミステリ1849 ISBN:9784150018498 C0297

アンダー・ザ・ドーム上 ステイーブン・キング 文藝春秋 ISBN:9784163804705 C0097

向田邦子の陽射し」 太田光 文藝春秋 ISBN:9784163743509 C0095




ジョブス中心かとおもえばそうでもない、どちらかというと俯瞰的なIT関連の近代企業史といったところ。もちろん題名にジョブスの名前があるからにはそちらをメインにしてるのだが、その敵役としてのマイクロソフトの動向が詳しい。一読しただけで凡てがわかるというようなIT企業の興亡解説本がある筈も無いが、参考としては漏れの少ない本といえるだろうか。薄めの本なのでさっと眺めるによろし。日本人が書いている分表現に難がなくて助かる。


「記者魂」

どこかの国のどこかの下町に生きてゆくしがない記者たちの「誇りと気概」みたいなところを達者な筆が描き出す。ハードボイルドではあるのだけれど、ハードに生きるにはこの街を愛しすぎている中年男。どうみてもうらぶれたまちで先も暗いんだが、その割には暗くない話なのである。それなりに街のルールに従っておとしまえをつける。「それでいいんかい!」と思わなくもないが郷に入れば郷に従え。風情のあるお話であった。この話の元になった記事ってどういうモノなのだろう。エヴァン・ハンターがわざわざ手紙をよこしたっていう。



アンダー・ザ・ドーム」上

のっけからバラバラ死体が生成されるという緊急事態。

とはいいながら、問題は突然降臨?してきたドームではなく、とじこめられた人々の間に起きる人間ドラマ(それもかなり不穏な)が主人公なのであった。人々の心を操作して権力を得ようとする奴が、徐々に反対者を包囲し始めているところです。

ゆっくり、じわじわ読んで行くのも楽し。にしても実に恐ろしきは、人の心なり。



向田邦子の陽射し」

ここまで書かれてはたまらない、というのが生半可に向田邦子を読んで好きな作家にしている人としての本音。なあんも、いふことなかよね。あえて沈黙。もう一回読み直すか向田邦子と思わせます。