フォールアウト

フォールアウト―世界貿易センタービル崩落は環境になにをもたらしたのか

「フォールアウト」世界貿易センタービル崩落は環境になにをもたらしたか   ファン・ゴンザレス   岩波書店  ISBN:4000246186 C0031

改めて考えればこれほど恐ろしい話は無いというお話。
米国の貿易センタービルの倒壊テロによる環境汚染がこういう形で隠蔽され、復興というプロパガンダのために国民の生命が犠牲にされて行く。大多数のマスコミ・研究者・科学者・企業すべての都合により情報の解釈は歪曲され重要性は隠蔽され、しかもその被害の訴えは行政に無視されるというこのシステムは、他人事ではない。

眼に見えない埃の中に含有される重金属、化学物質、ダイオキシン、その他諸々が、住人とゼロ地点で作業にあたった人々に計り知れない健康被害を及ぼしている。

第二次世界大戦時点では人工的な化学物質はほとんど考慮に入れずに済んだけれども、現代では恐ろしい事態になりうるのだとよおくわかりました。倒壊したのはあのビルだけではなかったというのも初めて知りました。
ほとんどテレビは見ないのですが、あの日たまたま外出から帰って来たらビルが倒壊して行く画像が流れていた。なんでまたこんな時簡に映画をやっているのだろうと疑問に思ったのを覚えています。それくらい「ありえない画像」だった。

しかし、いろんな意味で米国というのは恐ろしい国家ではある。日本の場合、阪神大震災では何らかの調査がされたのであろうかと訳者は書いておられるがその疑問はもっともだと思う。