エリック・クランプトン自伝

エリック・クラプトン自伝

エリック・クラプトン自伝」    エリック・クラプトン  イースト・プレス  ISBN:9784872578867 C0098


みごとな位にわかりません。これは、著者の問題ではなく私個人の問題により。
乏しい教養の中に「音楽関係」が欠落しておりますゆえ、文章の3分の1近く(まあ譲っても4分の1)がカタカナ人名とカタカナアルバム名およびギターのレーベル?で占められている此の本はほとんど笑えるくらいに右から左に頭の中から滑り落ちて行きます。 唯一知っている名前がビートルズとエルヴィス、レイ・チャールズ(映画ありましたね)、ミック・ジャガーのレベルとなれば無理も無い。

にもかかわらず読もうという暴挙を試みたのは、ビートルズ関係に興味があったから。 いずれにせよ、よおく頭に染み込んだのは「この人むちゃくちゃ体が丈夫」なこと。 ふつう薬物、ヘロイン中毒に加えてアルコール依存症を経て、還暦こえて未だ現役、ツアーこなせるスターってどこにいる? 薬物やりたい放題の時代を通過して、60過ぎて生存(失礼)できている人ってどれだけいるのだろう。


そう言えば、フイリップ・K・デイックもその申し子だった雰囲気でしたが。映画「スキャナー・ダークリー」の始めだか後ろだかにデイックの書いた同時代の遊び仲間への弔辞みたいな言葉が出ていた。 この人は死亡、この人は自殺、この人は精神障害と、昔の遊び仲間を挙げていた。

話をもどせば、このひとがここまで生き延びることができたのはご自分で言っている通り「音楽があった」からなのでしょう。 音楽のミューズというのは本当にいるのかもしれない。この人に関して言えば、そういう事なのでしょう。

それでも、ちょっと翻訳がこなれた感じがしないのは確か。 ただ、専門的な智識が必要なので、いちいち検索しなければならない非専門家にこの本を訳させると膨大な注釈というか知識が必要になります。 そこのところ、どう妥協するかというのは難しい問題と思いました。
かえって、本人に語ってもらうと外部状況とか世情が解らないので比較対照というか時代の流れが解りにくいということもあるなあとも思います。 まあ、その前に聴けよということなんですが。