東京工業学校の3

なんでもかんでも一緒くたと云った感じの撰修科がならんでいるように思えるのは気のせいか?
こうなっているのは当時の政府がどのような人材を欲していたかということを明らかにしていると云って良いだろう。
西洋の諸国の文化的論理を一から学ぶ事で國を構築して行かねば成らないという必死の思いが現れているともいえる。
窯業科というのは一見疑問を感じるが、これは外国への輸出をして外貨を獲得するために従来の連綿とつづいてきた老舗の窯業とは別途の方法で開拓しようと言う意思があったことを垣間みる気がする。
正月に益田市グラントワでみた「アメリカのみた夢?」展に外国進出していた陶磁器メーカー商品が展示されていたのを思い出す。これは第二次世界大戦勃発直前のものであったが。
明治のこの時期政府がどのような産業政策を、どのような方向に向かって推進していたかを考えてみると面白いと思う。
加えて、日常の授業が英独語で行われるためという一節は、一般の「徒弟」にはこの学校が開かれていなかったことを示している。いったいどういう階級の子弟(それも男だけ)がここに通っていたのだろう。

設備


本校は左の5科の選修科よりなる
1染織科(色機械の2となる)2窯業科3応用化学科4機械科5電気科(分て2とす
電気機械分科電気化学分科各科の内にて又特に専修する科目に至ては其の人の事情により種々あり
詳細一覧及び規則書各科時間標を参照せられよ
各科設備は染織科に染色工場捺染工場撚糸工場機械工場あり
窯業科に陶磁器原料分析室水江○塲窯爐及び石炭焼試験窯あり
応用化学科 化学的製造実修工場分析室
機械科に製図場木工場鋳造場鍛工場仕上場製缶場及び木材乾燥室あり
電気科に電気機械工場及び電気化学工場あり


入学者の資格

本年より改正規則に依り主として中学卒業生を入学せしめ猶人員不足なる時は一般志望者中より試験を施して入学せしむる事になれり
而して学校に在ては専門の学術を専ら教授すれば入学者は予め英語独逸語の素養を充分にし置けば大に入学後利益ありと信 之れ学校に於て用ゐる参考書は殆んど英独の書なればなり
年齢17才以上25才以下
品行方正身体強健にして工業者の子弟又は将来工業に従事せんとする志望鞏固にして入学試験に合格する者