東京工業学校の5

工業学校は今回で終了

ここで言っている「学資給食」とは、読めばわかるが「奨学金」のことである。
企業が学資を貸与する代わりに卒業後就職義務を課している。また企業ばかりでなく海軍省においても「選抜造兵生徒」としてこれは手当金というから返さなくてよいのかもしれない。

いずれにせよ、図面が読めて設計の出来る技師の需要がいくらあっても足りない状態だったように見える。
雑報に海軍将校が兵学校?の入学試験監督のための出張の折り松江中学にて講演をおこなったという記事があるが、その要約に「現在日本は艦船関係を急速に増強しつつありしたがって機関兵も早急の増員が求められている」という話が有った。
なるほど、人材確保にやっきになっているわけである。

学資給食

学資欠乏の人にして耐忍力に富み志望堅固にして恰好の資格を有する者は別に学資給食の法あり但し一年級に於ては其の学力性行を熟知すること難き故に概ね二年生以上よりす


此の世は篤志家にして一は工業の発達を扶植せん為め技術者を養成せんと欲し一は此等学生の篤志を徳とし学資を給貸し其の業を成さしめんとするも又は近来に至り卒業生の需要は遥に供給に超過するを以て官庁及び工業諸会社中にて在学中学資を支給し卒業後採用を予約せんとするものと学業奨励の主旨を以て学資を支給せんとするものとの2種ありて別に学給貸規程を以て制定あり其の規程によりて1ヶ月凡10円以内の給与若くは貸与をなし卒業後或る期間の就職義務あるものとす



又体格強健学力優等なるものにして学資に乏しき人は左の海軍兵生徒たるも良からん
海軍造兵生徒 海軍省に於て造兵技手養成の目的を以て毎年本校機械科電気機械分科応用化学科生徒合計10名を選抜造兵生徒を命じ月額10円の手当金を給し又一学年毎に被服料として30円を給せらる


注意不審のある人又は詳細に知り度き人は学校に本校一覧及び規則送付しあれば熟覧ありたし猶ほ知れざる所あらば其旨御照会有れ極力尽瘁すべし又先輩にして松江にある人には内中原町の人嘉義金一郎氏あり
氏は当時松江税務管理局に在勤中なれば同氏に就き模様御尋ねあり度し



序に記す島根県人卒業者及び在学者は實に少数にして他県に比すれば實に心細き限りなり卒業生4名在学生6名(内3名第一中学校出身)

或は恐る本校の実況未だ熟知せざるに因らんことを依て此に略況御報告申し上げたり附本校には別に工業教員養成所選科生の設けあれども繁雑になれば後日に譲る但し一覧に詳細記載あり