海軍兵学校

ここまでくると学校シリーズと云った感じもしなくもないが、今回からは広島の江田島にある海軍兵学校の紹介となる。
現在も自衛隊の養成学校のあるところである。修学旅行では定番の場所でもあったらしく、修学旅行記では随分力をいれて書いてあったので、そちらもごらんいただけると面白いと思う。
この学校の入学試験については以下詳しく書いてあるところがたいへん面白かった

4.2 海軍兵学校通信   AW 生

(五号 57頁〜58頁)


広島城下を去る殆ど一里瀬戸内海に一島あり是ぞ海軍高等官の養成所江田島なりとす本島は前面に湾を擁し犬牙の如き古高山島の中央に聳へ此の間に赤壁煉瓦の校舎横はる是ぞ真に帝国海軍将校の生れ出つる海軍兵学校なりと知れ


校区域の模様


湾頭には泰然と投錨する練習艦筑波邊のニ艦加ふるに汽船江田島丸及ひ汽艇其の間に点々東西に快走す
右は之れ皆生徒の為めに設けられたる物にして常に海員を以て取り締まられたり校は三方周らすにセメント土壁を以てし内に漠々たる練兵場機械体操場及び馬場ありて一面に青々と芝を以て覆はれたり

生徒館は南面にし此場に莅み後には水雷機関運用理化学者普通学講堂等をひかひたり海岸には幾拾艘の端艇を釣し加ふるに砲台を築き湾口怪艦あらばやと待つものの如く勇まし

又諸官舎は一段高所に建築して校を眼下に警視す大略此の如し。斯かる校内に雪霜三年の苦学を為す海國勇士は如何なる身分且つ待遇なりやと云はば腰に金色の短剣を釣し軍服を光らかし意気凛然たる勇士は明治16年の海軍省令にて准士官の次席とは定られむ

されは白髪兵曹が敬礼するのは實に軽ろんずべきの身にあらずとは思ふなれ服は固より高尚優美にして4種を給せらる島民は常に生徒様とて信用を措き且つ倚頼の意を表はすなり