死んだら何を書いてもいいわ

死んだら何を書いてもいいわ―母・萩原葉子との百八十六日


「死んだら何を書いてもいいわ」母・萩原葉子との百八十六日  萩原朔美  新潮社 ISBN:9784103168119 C0095



その昔恩師(と勝手に呼ばせていただいている)が専門としていた関係で縁の深い萩原朔太郎の長女葉子とその一人息子のおはなし。学生時代から写真だけではあるが見ていたもので、自分のイメージのなかでは一向に歳をとらないこのお二人。ほんとうに印象的な風貌をしていらっしゃる。


自分の学生時代に、葉子氏は「蕁麻の家」(いらくさのいえ)で女流文学賞を受賞していて、自分は読みかけたのだがあまりに祖母の孫娘(=葉子氏がモデル)に対する虐待が壮絶すぎて、読み終えられたか否か記憶がない。

今回、臨終を看取った息子朔美氏のこの本を読んで、ようやくイラクサ三部作を読めるかもしれないと言う気がしている。
「朔太郎とおだまきの花」が、どこかにあるかしら。
それにしても朔太郎の妻稲子氏の若い頃の美貌、見て茫然とする。たしかに夢路ふうの美人である。でもね、顔だけで女を選んだらひどい目に遭うよ、と言ってやりたくなるのはひがみでしょうかね。

父親コンプレックスつながりで森茉莉の話が出ている所が面白い。
偉大なる父を持つと娘も影響を受けざるを得ないのか。愚鈍なる親もまたよろし。などと言い訳したりする。