栗本薫氏逝く

訃報を知る。先日新聞に写真が出ていてそのやつれように驚いていたのだが。若い頃のあの丸々とした顔と長い髪が思い浮かぶ。


その昔中島梓名義にて「文学の輪郭」を書き、「コミュニケーション不完全症候群」でやおいとアニメオタク心理を分析し「小説道場」で抱腹絶倒「やおい小説の書き方」指南をし、ファンタジーでは「グインサーガ」をものする。
多彩な活動の中で結局自分の触れたのはグインサーガを除いた部分であったけれども。


善くも悪しくも「自己表現」に拘った作家だったと思う。(作家ならばあたりまえか)
創刊時代の「野生時代」をしばらく読んでいたのを思い出す。「魔界水滸伝」を連載していて挿絵は永井豪だった。
もともと「水滸伝」形態の物語は自分は苦手で、そのうち読まなくなった。
図書館を利用する時間も休みもない勤務だったので欲しい本は購入するしかなく、刊行し始めたグインサーガを購入しても収拾がつかなくなるので始めから読むのを断念した。(刊行はじめてから既に百巻宣言していたような)
今図書館にかなり並んでいるけれども今度は流石に読む気力はない。


いつかしら彼女の生活信条というか生活環境があまりにこちらとかけ離れていることにやっかみを覚える様になって読まなくなった。それにしても55歳というと、あまり歳が離れていないのに今更気づく。
才媛が、思い切り走り抜けた人生。短すぎたことに悔いはあるだろうが、冥福を祈る。