ウツボカズラの夢

ギフト  ウツボカズラの夢


「ギフト」  日明恵   双葉社  ISBN:9784575236194  C0093
ウツボカズラの夢」   乃南アサ  双葉社 ISBN:9784575236095 C0093



忠告:動物ものに弱い方は人前でこの本は読まない方がよいです。
本歌取り」というのでしたっけ?そういう言い方をすれば「本歌」はすぐに推測が付くと思いますが「シックスセンス」です
映画「ギフト」ではございません。シックスセンスの方は結構グロい描写が多いのですが、この方はそんな感じはあまりない。
さすがに納め方はうまい。面白いです(本歌も勿論ですが)
「この作家ならばこうくるか!」と考えながら読むのも、オマージュの面白さであります。



乃南アサさんは、ひとことで言えば「きつい」です。でもって、「はい!ハッピーエンド」なんていうのはほとんど期待できない。
「それにしてもウツボカズラとは誰?」などと考えながら読むうちに、結局おしまいまで行って「なるほど」と。
或る意味非常にリアルな人間関係を描いているから、「おしまい」にならない。ず〜っと善悪なしに続いてゆくところが「現実」なんですよね。
よくある話だよくいる人間だもっともだなどと、どうみても好きになれない人間群像をみているうちに昔読んだ曾野綾子の「虚構の家」が思い浮かびました。
あの「虚構の家」を現代版にしたらこうなるんだろうなあ。
曾野綾子の方にはまだ少し救いがあるところが、まあまだましな時代だったのかという感じがしますが。
時代を切り取ってみせた、と言えるのかもしれません。
とはいいながらああいう人間たち、身近に居すぎて何だか他人事(=つくりもの=物語)と思えないところがおそろしい(苦笑)