宍道湖連合漕艇会の4

今回で連合漕艇は終了。以降の回は大荒れです。
舵手はあさっての方向(嫁島)に向かって進路をとり、汽船の注意は周囲の応援の声にかき消され、気づいた時には方向転換のために傍観船のなかへつっこみ、試合後対戦側の応援者に妨害をされたと抗議をする騒ぎに。
大橋川ほかの川岸には各商家に船着き場があったと推測できるような場所が今でも散見できます。きっとこの漕艇会などのイベントには小船を借りて応援している人たちが多かったのではと思います。宍道湖は大荒れでなければそんなにひどい波はたたないので。
血気盛んなしかもそれを奨励する時代の事です。近いところにあるからこそ喧嘩腰になることも多かったかかも、などといらぬ憶測などいたしますが、なかなか人のこころは難しいものではあります。

第十三回
赤、修道はアルプスにて南コース
青、師範はヒマラヤにて北コース
スタートにて赤後れたれど300メートルにして青を抜くと半艇身500メートルにして双方コースを誤り赤艇は漸次青艇のコースに入り青艇は400メートルに至る頃迄は艇首南に振り北に向き一定せざりしが遂に北に傾き全く嫁島に向つて漕ぐに至れり
此時汽船より注意を与えしかど聞えざりしか其誤れるを知らざるものの如く進て800メートルに至り始めて悟りしが本コースに向ひたれど俄に変ずる可らず遂に傍観船に衝突し更に調を整ひて漕ぎしも群集せる船の中なれば障害に遭ふこと二回優に十艇身余を抜きたるも今は全く回復せられたり
此時赤艇は師範の声援艇に障碍せられて休むこと五六本青艇本コースに出でて猛然突進したるも遂に及ばず5分56秒、赤一艇半の差を以て勝てりコースに障碍ありしを以て師範より抗議を提出したれど審判員に否定せられて全く勝は修道のものとなれりされど実際力は師範にありしに敗を取りしは返す返すも惜しきこといて全然舵手の誤りなりき。


第十四回
赤、中学はアルタイにて北コー
青、商業はパスフ井ツクにて南コース
スタートにて青少しく後れたりはピッチ300メートルにて赤32青35、500メートルにして赤33青37、400メートルにて青少しく調を乱りたり500メートルの時赤優に四艇身を抜けり之を回復せむと急調迫りしも赤ロングハードにて進み800メートルに至りて青疲れ乱調となりしかば遂に及ぶ能はず九艇身の差を以て決勝点に入り5分45秒にて赤の勝ちとなる。


第十五回
商業赤はヒマラヤにて北コース
修道青はアルプスにて南コース
是ぞ両校の撰びに撰んだる第一選手にして各其校の名誉は挙げて此一戦にあり赤艇のピッチ300メートルにして35青艇は33赤艇?々不調の時ありき是其5番のオール早きに失せしが為めか将又心のはやりにか青艇400メートル余にして4番と整調とは少しく疲れたるやの感ありき300メートル過ぎより赤少しく抜き終始之を持続し来り決勝点に近くしては赤40青37の急調いて遂に5分50秒三艇身の差にて名誉の月桂冠は赤のものとなり然れど赤艇は漕法より云へば正則ならず寧ろ正は青艇にあり而し青艇の破れたるはフ井ダリング余りに遅かりしに依る勤めよや修道の選手


第十六回
中学第一選手対師範第一選手の競漕なりきに師範は琵琶湖上の競漕に名誉の優勝旗を手にして帰りしもの中学は本年琵琶の海に名誉選手として第一第二艇共に出てたるもの其後継者として選りに選りたるものなれば当日第一の見物なりとして人々手に汗を握り選手骨鳴り肉踊るの慨ありしに或事情の為中止となりしこそ遺憾の極なりしか。