オイアウエ漂流記

警察庁から来た男  オイアウエ漂流記



警察庁から来た男」   佐々木譲   角川春樹事務所 ISBN:4758410755 C0093

「オイアウエ漂流記」   荻原浩  新潮社 ISBN:9784104689040 C0093

「うたう警官」を読んでからこれをお読みになることを御薦めします。
登場人物が重なっていますのでキャラクター説明がいらない。というか「つっこみどころ」がよくわかって楽しい。
「アフターしていないんですか」?の言葉が効きます。
基本的にタイトルで想起されるようなキャリア組への突っ込みはあまり期待出来ませんが、「うたった」その後の彼等の処遇がわかって嬉しい所です。そちらをご期待ください。なかなか味わいある作品。
「わらう」「うたう」の二作品と比べて本が薄めなような、という気はしますが展開と謎解きはしっかりしています。
それにしてもこの作家さん、やっぱりメイドカフェなんかも実地に自分で取材しておられるのかしらん。

「オイアウエ漂流記」
なんだか演劇部の発声練習みたいですけど、ちゃんとトンガ語なのか!トンガ人はさぞかし滑舌が良いに違いない。
「フリーター家を買う」の有川浩さんと、同時期に見かけたものでまた作家の名前に頭の中が混乱。
どちらも折り紙付きで面白いのでかまいはせぬが。
抱腹絶倒。よくぞ一人も殺さずに脱出したものよ、とこの作家には(毎回ながら)拍手を送りたくなる。
あまり公衆の面前では読まない方が良いかもしれない。吹き出すとまずい。
しっかり楽しませていただきました。こういう本を読むと、幸せな気分になれる。

ここ数週間の懸案であった美術館の企画展と、本屋めぐりを敢行。
県庁前のバス停から天神町に向かっていたら白潟天満宮のお祭りをやっていました。25日は毎月歩行者天国になってフリーマーケットや野菜特産物の販売をやっているはずです。今月はたまたま日曜日にあたったというわけで。
なかなかの賑わいでした。
県立美術館の企画展は、淋派と狩野派の屏風の迫力にびっくり。どこが「わび」「さび」だといいたくなるような金屏風に、銀箔が酸化していなければ絶句しそうなしろものばかりです。
意匠的にも完璧に近い、逸品ぞろいなのだろうと素人目にもわかります。稚拙や破綻がない。派手ではあるが、あざとさがない。
葛飾北斎の肉筆画3軸は滅多に見られないような品。筆致の迷いのなさは、名人芸。
こんな調度に見合う建物、日本家屋はと想像してみるとちょっと気が遠くなりそうな。
本屋をまわって幸町あたりをうろうろしながら帰ってきました。この町と雑賀町(さいかまち)の路地を歩くと昔ながらの「長屋」が並んでいて大変楽しめます。観光地ではありませんが、そういうのがお好みの方には、おすすめ。