蜷川幸雄伝説

キングの死 (ハヤカワ・ミステリ文庫)  人間ドキュメント 蜷川幸雄伝説


「キングの死」  ジョン・ハート  ハヤカワ文庫 ISBN:4151767010 C0197

蜷川幸雄伝説」人間ドキュメント  高橋豊  河出書房新社 ISBN:4309014151 C0095  

書架にみかけたので早速借りてみる。これが処女作というのだから喝采するか憤慨するかという、いずれにせよ無視の出来ない傑作。
三分の二あたりになったら、もう犯人が誰かなどと半分はどうでもよくなる。
そこまで書いたらもうミステリーとしての「ひねり」なんぞほとんどどうでもいいから、と言いたくなったが最後までどう納めるか推測のできない展開で、見事着地。
人物描写がしっかりしているとこれほど読ませるものかと感心する。
三作目はもう出ているのだろうか。ちょっと興味有り。二作目にしてもう大御所かい。

蜷川幸雄伝説」
俳優として生計をたてることができる人もほんの僅かだろうが、演出家に至ってはほとんど道楽なのかもしれない。
灰皿投げで有名になった蜷川幸雄だが、そういう意味なら昔勤めていた会社の上司なんかは部下を三角スケールでこづいていた。
定年退職して再就職してきたおじさんなんかには、かなり屈辱的だったろう。
周りの社員は心底震え上がっていたが、自分はこれも「パフォーマンスの一部」と心得てあまりびびっていなかった。
ま、おかげで変な脅しには平気な人になった。あれほど「恐ろしい」人間には滅多にお会いしない。
(その上司今は金融関係の役員をやっているらしい。お似合いである)
話はもどって、日本の小劇場と商業演劇の歴史を俯瞰出来るとてもためになる本だった。
田舎に住んでいたせいでそういう関係の情報は皆無だったので、知識を整理するのに大変参考になる。
語りも面白いし、視覚的なものを大切にするありかたなどコンセプトも理解しやすかった。
文化と企業とお金のつながりを考える意味でもおすすめです。

先日倉本聰が「最近の俳優志望の青年はブレヒトさえも読んでいない」と嘆いていたらしいと言う記事を読んだ。
現役の演出家、監督ほかがそういう教養をベースに展開しているのならば当然読むべきものなのだろうなあと考える。
同じ基盤に立たねば監督や演出家の意図がさっぱり理解出来ないだろうという意味で。
そういえば、図書館にブレヒト全集があったなあ。イプセンとかチェーホフとか読んでみる?
わかるかあなあ、わかんねえかなあ。まあ、ベケットとかオニールとか名前だけは随分覚えたかも


昨夜「ハンチョウ2」視聴。脚本がちゃんとしている。俳優さんの演技もまとも。
音声を消さずに視聴出来る番組はひさしぶり(笑)神田正輝も年取ったなあ。でも良い年の取り方のような気がする。
一時間にまとめないといけないという制約はあるけれど、ちゃんとまとめてあって観ていて安心出来た。
次週は「篠田三郎」か。ウルトラマン太郎なのだ。あのころかわいかったよなあ。東宝ニューフェイスだったっけ?
ゲストも演技力なある人たちなので安心して見れるところがいい。