七秒しか記憶がもたない男

20世紀の幽霊たち (小学館文庫)  蛇の歯上 (創元推理文庫)  蛇の歯下 (創元推理文庫)  七秒しか記憶がもたない男 脳損傷から奇跡の回復を遂げるまで



「二十世紀の幽霊たち」  ジョー・ヒル 小学館文庫 ISBN:9784094081343

「蛇の歯」上  フェイ・ケラーマン 創元推理文庫 ISBN:9784488282158 C0197

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「蛇の歯」下  フェイ・ケラーマン 創元推理文庫 ISBN:9784488282165 C0197

「七秒しか記憶がもたない男」脳損傷から奇跡の回復を遂げるまで  デボラ・ウェアリング ランダムハウス講談社 ISBN:9784270005330 C0098

久々にガツンとくるホラー系を読んだ気がする。
じつはR・マシスンの「アイ・アム・レジェンド」のオマージュ短編集が出たというので探したのだが探しきれず(結局題名は「ヒー・イズ・レジェンド」だったみたい)代わりにジョー・ヒルの名前で検索したらこの本がみつかったのだった。
題名をうろ覚えだと行き着けないところが情けない。ま、それはそうとして確かとても批評欄の評価が良かったのを覚えていたので。
おおお!いいじゃないか!と非常に頼もしい限りである。だいたいこの作家業で七光りはあり得ないわけで、これは希有な遺伝と言ってよろし。誰のかって?そりゃあ御大「S・キング」の息子というのだから。
そんなのを関係無しにこの本は良かった。さあて探し損なった短編集も探しに行かねばならぬ。

「蛇の歯」
フェイ・ケラーマンの話はうまいのだが、最近こちらの好みが変わってきたようでいまいちノリ切れない。困ったもんだ。
リナとデッカーシリーズの一冊。話のはじめはなかなかいいのだが、とあるセレブのパーテイ会場で銃の乱射がある。
客を無差別に殺傷して自殺したと思われる状況なのだが…というはじまりは良いのだけれど。
なんか人間関係がごちゃごちゃしすぎて自分には把握が面倒だった。登場人物が複数に渡るとすぐに混乱しかける悪い癖があるもので。
半分くらいはいったから良しとするかって、そういう問題ではないけど。またいつか勢いついたら読めるかも。

「七秒しか記憶がもたない男」
これは怖すぎる症例。コメントしていられない。が、非常にお勧めの本。できればオリバー・サックス関係の本も一緒に。
それにしてもヘルペスがこういう悪さをするとは。周囲に「胴巻き(帯状疱疹)」になって大変なことになる方は結構居る。特に顔に出たら下手をすると命に関わると聞いた覚えがある。この男性は脳にまで行ってしまった。
高熱が出たり脳炎になったりした時にどういう仕組みで脳に損傷を及ぼすかということが説明してあり非常に興味深かった。
この男性はそのために「海馬」部分がほとんど壊滅し記憶を納める機能をなくした。いわばパソコンで言えば永遠に何秒何分置きかに「リブート」している状態。生きている間中「今目覚めた」としか考えられない。その前も先も後もない。
緩慢に脳細胞が壊れて行く「痴呆」を見続けるのも辛いが、こういう状態もなんともはや。

液晶画面みつづけてるせいか、眼が死にそうになっている。腹も身のうち、否「目も身のうち」