スノーボール

ウオーレン・バフェット伝の上巻を読んでいる。
読後に感想を書くのが普通だが、なにしろ上下巻単体で普通の単行本一冊の厚さなのでとりあえず途中での感想。


この人物は株式投資の分野で最も成功したと言ってよい米国の有名人らしい。ほとんどこの世界では神様に等しいくらいの印象があるとか。ものごころついた頃からすでに「数字」に魅せられ、とくに「統計」「確率」という概念に執着。ただ「お金」に対する執着というよりも「資金が数字として増加する、させる」という結果の方に興味をもっているのではないかと言う感じがする。
僅かな金を、自分の裁量機転によって坂を転がり落ちる雪玉のように大きく増やして行くという行為を追求する快楽。


それにしても、カーネギーの「人を動かす」を読んで「人間関係を統計」として把握し自分の行動基準として採用するなど、あくまで「統計」に拘ってしか行動出来ないその性格の根本はなにかと言えば、幼少期にあったらしいというのも驚きではある。
幼い頃から家業を手伝って働き詰めだった彼の母になる女性は、学問の才能を投げ打って結婚しその環境からの脱出を図る。がその代償は「予想もつかない癇癪」となって子供達を襲ったということらしい。外見は良き母でありながらその実は精神的な虐待を繰り返す母親に家庭内は子供にとって地獄の様相を呈する。


シバの女王といい、つづけて「家族の物語」を撰んだことになりそうだ。
語りは読みやすく、厚さに惑わされずに手に取ってみることを御薦め出来る。数字に暗い自分でも十分面白い本です。