悪人

悪人




「悪人」  吉田修一  朝日新聞社 ISBN:9784022502728 C0093

あざといまでの巧さ。が、重松清天童荒太とおなじく苦手なタイプかもしれない。
深刻なのがよほど嫌いなのだなあと改めて自覚させられつつ。ある意味わかりやすい主題ではあるものの。
九州弁が自然でいいなあと思ったらこのかた九州の出身でいらっしゃるのか。変にひねくった文章でないし読み易い。
軒並み有力な賞の候補にななったり獲得されているのもうなづける。何作も映画化されているのと、評判もよいようなのでお初に読んでみました。この作家さんならば「はずれ」はなさそうだ。

五月病ならぬやたらと神経がいらだちいらぬことにも過激な反応を示しているような気がする。
やはり「木の芽時期」というのは神経によろしくないのかもしれない。


D・クーンツの「チックタク」を覗いてみて怖じ気づく。
この不条理さ、不眠症になりそうなので一気に解決編?に飛んだら、なるほどそういうことかあ。
目指すは「スーパー・ナチュラルホラーとスクリューボール・コメデイの融合」って、そうわかっていれば安心したのだけども。でもやっぱり夢にチクタクマンが出てきそうなのでやめておこう。
解説によれば「心の昏き川」ってキング好み寄りですって?探してみようではないの。

ピーター・ストラブとどこかでごっちゃになっていたこの作家さん、たしかに読んでいてジェットコースターにのせられてゆく感じあり。