今度は愛妻家

ぼくの家は「世界遺産」 (地球のカタチ)  今度は愛妻家 (竹書房文庫)  定本納棺夫日記




ぼくの家(うち)は「世界遺産」  小松義夫 白水社 ISBN:9784560031728 C0039

納棺夫日記」  青木新門 桂書房 ISBN:4903351351

今度は愛妻家」  原作:中谷まゆみ 著者:入間眞 竹書房 ISBN:9784812440513 C0174



世界中を周ってその土地に住む人々の住居を撮影して来た著者によるエッセイ。こんな人がいるんだあ!という、いろいろな形態の住居の面白さと同じくらいに人間の方にも驚く。じつのところ彼の取材にとっての最大の障害は「政治情勢」であるというところが、納得は行くけれども当然ながら悔しい。

著者のこの成果の一部は「地球生活記」と「地球人記」という、数キログラムもある写真集となって刊行されているらしい。この本に紹介された建築物は僅か10種類だが、こんなに面白いならばちょっと手をかけても手に入れて眺める甲斐はあるにちがいない。お見掛けた方は絶対手に取ってみるべき。どうも片手にもって立ち読みは不可能みたいだけど。


納棺夫日記
たしか「おくりびと」の原作として有名になった本だと思う。吉村昭夫妻とも縁のある詩人である著者。映画はちょっとはじめだけみたけれど、ちょっとコミカルなところがあったがこの本はどちらかというとエッセイに近い。詩人だけに文章がとても美しい。これだけの文章を書けることが羨ましい。満州から母親や兄弟と一緒に引き上げて来た様子を書いた文章もある。お薦め出来る本である。


今度は愛妻家
もともと評判のよかった舞台の脚本をもとに小説風に書き直したものらしい。映画の方は「泣き」が売りらしかったのだが、この本を読んでみると池田成志が主演した舞台のもとの脚本を読んでみたくなった。
仕掛けはそんなに仰天するほどのものではないにしても、「台詞」としてはどういう風に展開してゆくのかという興味が湧く。
最近の雑誌「シナリオ」に出ていたかもしれない。映画と舞台ではまた台詞とか展開が違うかも。読んでみたいのはあくまで舞台の方。舞台でカットバックなんて余り聞かないから、そういうところどういうふうに進行して行くのか。って、全然感想になってないじゃん!と思いつつ、可逆的に舞台の脚本を想像してみる楽しみがあると言う点で非常に面白かった。