人間を読む旅

人間を読む旅  原節子 あるがままに生きて (朝日文庫)


「人間を読む旅」  城山三郎佐高信  岩波書店   ISBN:4000017543 C0095

原節子 あるがままに生きて」  貴田庄 朝日新聞出版 ISBN:9784022616562 C0174

実のところこのお二人の著作をまともに読んだことが無い。ゆえに自分的にはかなり毛色のちがう対談集。
が、面白かった。何が面白いって「ちょっと前」だけど「過去」というには生々しい、あるいはほとんど「現在」の感覚の政治情勢を切れ者が忌憚なく語るという視点の違い。しかも語られるのは今現在殆ど死んでしまっている政治家に対する評だったりする。(このお二人もちょっと前に鬼籍にはいってしまっているわけで)


読んでいる現在の自分がちょっと「神の視点」でみることが出来ると言う優越感?に浸れるわけで、「読んでいる人間」対「対談する二人」と「評される人々」という時制の違いがこのうえなく面白く感じられる。ええと、竹下登宮澤喜一田中角栄大平正芳などなど。まだご存命なのは(失礼)小泉純一郎田中眞紀子とか小数派。対談の時点では首相がまだぶち切れて辞職したりしていない時期。
お〜お〜このあと突然辞職したんだっけか?とかいろいろ思い出しつつ読める。


山本周五郎司馬遼太郎藤沢周平など人物評にはちょっと笑みが浮かぶ。(あ、これも鬼籍か)
懐かしいような、ふしぎな感覚につつまれつつ読んだ本でありました。「黄金の日々」や「落日燃ゆ」とか、まだ親父が健在なころだったっけか、と思い出しつつ。
怖いぞ、このおじさん達の「眼」は。(ん?堺屋太一とごっちゃになってる?)


原節子」は、なんだか煮え切らないままに書いたという感じ。途中で断念。
思うに、自分ならこういう人に自分のことを書かれたくない。たとえば沢木耕太郎さんなら、食指は動くかも。