電子書籍奮闘記

アイダ王女の小さな月―魔法の国ザンス〈21〉 (ハヤカワ文庫FT)  半島へ、ふたたび  電子書籍奮戦記  電子出版の構図―実体のない書物の行方





「アイダ王女の小さな月」魔法の国ザンス21  ビアズ・アンソニイ 早川書房 ISBN:9784150205232 C0197

「半島へふたたび」  蓮池薫 新潮社 ISBN:9784103165316 C0095

電子書籍奮戦記」 萩野正昭(はぎのまさあき) 新潮社 ISBN:9784103284116 C0095

「電子出版の構図」実体のない書物の行方 植村八潮 印刷学会出版部 ISBN:9784870851993 C0000




魔法の国ザンスシリーズも21冊目って、もうそんな数になったのかと驚く。がどの作品も駄作がないのがすごいところ。も90才も越えておられるはずなんだが、相変わらずちょっとエッチで駄洒落がさえている。でまたザンスという世界が拡がってゆくのだから、すごいよなあ。今回は前作の主人公だった派手派手なドラゴンカップルも出て来てレギュラーになりそうな気配。今回は木の世話を仕事にしているフォーンと夢魔のインブリの旅。アイダ王女の小さな月へと旅立ちます。



「半島へふたたび」

新書で韓国語の学び方を出しておられたのを垣間みて驚いたのだが、相当頭の切れる方らしき印象。

頭をフル回転しなければ生き残ることのできない状況を何十年も続けざるをえないだったのだから当然ではある。で、この本は書いておられたブログに手をいれて出版されたもの。基本的に朝鮮半島関係には興味がないので自分的には異例なところ。変な観光書より解り易かったかも。



電子書籍奮闘記」

ボイジャーの社長。検索タグをつけるならば、レーザーデイスクを開発していたパイオニアという会社のこと、CDブック、電子書籍の概念、その「理念」、「青空文庫」の歴史などなど、非常に解り易い語りになっている。電子書籍の来し方行く末を考えるためには必須な資料になるだろう。ううむ「ネット・バカ」のあとにこれを読むと、立場の違いで物事の見方がちがうということを如実にあらわしている。ぜひ読んで考えてみたいものである。




「電子出版の構図」

コラム欄をつなげても「本」にはなりにくいということがよくわかる本。「ネット・バカ」に指摘されていた「リンクが多すぎて集中して読めない」状態とはこういうものか。書き手は「時系列にコラムを提示しただけで提示すれば読者には理解できる筈」という思考回路にはまっているらしい。どういう時系列で語っているのかを常に考えていないと話が理解できないというのは読み手にとってはとても負担だ。だったら、ぜんぶまとめて論説にしてくれればいいのだけれど、書き手はそんな手なんかかけたくないのだろう。


あるいみ「ネットの書き方」というか「提示の仕方」の典型で「書捨て」なわけで、ネット・バカの論理の流れで行けばどんどんこんな「著作」が増えて行くんだろうなあという感想を持ちながら眺めていた。うん、ネットブログならばそれでいいけど「本にする」には適さない。なるほど、ネット(=技術)が表現方法をかえてゆくということなんだろう。そこのところ自覚しておく必要あり。