メリーゴーランド

サム・ホーソーンの事件簿3 (創元推理文庫) サム・ホーソーンの事件簿 IV (創元推理文庫) 深海生物学への招待 (NHKブックス) 海に沈んだ町 メリーゴーランド


「サム・ホーソーンの事件簿3」エドワード・D・ホック 創元推理文庫 ISBN:4488201059 C0197

「サム・ホーソーンの事件簿4」エドワード・D・ホック 創元推理文庫 ISBN:4488201067 C0197

「深海生物学への招待」 長塚毅 日本放送出版協会 ISBN:4140017759 C1345
「海に沈んだ町」 三崎亜記 朝日新聞出版 ISBN:9784022508324 C0093

「メリーゴーランド」 荻原浩 新潮社 ISBN:4104689017 C0093


同じ作家で紛らわしい。といってもこれ以上の題名の付け方はないし。
名前は「サ」の文字しか合っていないのだから違いに気がつかない自分の方が間抜けとも言える。しかし、このシリーズの1、2は図書館のどこに並んでいるのだろう?
サイモン氏はホラーがかっているが、このサム君はお医者さん。サイモンシリーズでは語り手の奥さんが障害となっているので、独身三昧のサム君は気楽な奴なのだ。作家の女性観あらわれてませんか、ひょっとしてというのは冗談。本格推理といってもよいトリックの短編ばかり。よくまあこんなに沢山書けたものである。おすすめの作家なり。


長塚毅氏の3冊めを読む。刊行は1996年で著者近影の写真がなんとも可愛い。(おい!)
昨日ブログを拝見したところ今年50才になられたばかりとのこと。経歴からいうとかなり華麗な方、否波瀾万丈な方のようである。先に読んだ新書の方が新しいので研究成果もまとまりの方もあちらを読んでみた方がとっかかりが良い。こちらは深海艇による探査の関係やチューブワームの方に主力が置かれている。(ご専門ですから)
一見磊落な風にもみえるが、じつはかなり繊細な方なのではないかと仄聞。この二十年新しい分野の学問が開かれて来ていたのだと知る。


「海に沈んだ町」
このタイミングでこの題名を読むのは辛い、が三崎亜記の世界を読まずにはいられない。それにしても相変わらず不穏な世界なのである。突如一つの町が海に沈み、「団地船」が海をさまよう。
挿入される写真がこれまた雰囲気を盛り上げてくれる。風刺なのか妄想なのか、だんだんと思考の三半規管をやられて平衡感覚を失っていっているような気持ち悪さ。その世界観のベースにはしっかりと「日本近代文化史」というのがあって、それがじわじわとねじれて物語が立ち上がって来るところが怖い。


「メリーゴーランド」
極めつけの公務員コメデイ。笑っていいのかマズいのか悩みつつ思わず吹き出した。これこそ強烈な風刺。
あまりに上手いので怒れないだろう、ここまでやられると。まあある意味やりきれないような結末ではあるけど、かといってど〜んと暗くなるわけでもない。むちゃくちゃ立ちまくったキャラクターを存分に楽しむべし、というところです。