Full dark, no stars

ホーンズ 角 (小学館文庫)

「ホーンズ 角」  ジョー・ヒル 小学館 ISBN:9784094084658 C0197

先週のお出かけ車内で(片道4時間なので)キングの中編集Full dark, no stars(星もない真っ暗闇)を腰を落ち着けて、ようやく第一編「1922」を読めたのですが。キングらしいダークでしかも深みのあるお話でした。
1922というのは1922年という意味。農場を経営する男が語り手。男の奥さんは相続によってこの農場を所有しているけど都会で暮らしたくてたまらない。この夫婦の間には息子が一人いて、この子は恋人が出来たばかりで農場の経営を継ぎたいから父親と一緒で農場から離れたくない。それでも強烈な性格の奥さんはもう土地を売り払う算段まで始めている。というのでとうとうこの父子、奥さん(=母親)を殺そうとする…。非常に強烈な現場描写に加え、そのあとどんどん不運のなかに転落して行くこの父子のありさまが凄いです。さすが、キング。
で、ただいまその次の短編「Big Driver」読み始めてます。はなしは、まんま「でかい運転手」

これ読みつつ、先日手に入れてしかし勿体なすぎて読めなかったジョー・ヒルの「ホーンズ」読んでしまった。おおおお!と最初から感動。なんつう設定や、としか言い様が無い。キングが作品描かなくなったら、ジョーに希望を託そう!とけっしんしましたのですが。読み終わってみると、やっぱりキングとは似て非なる作家なんだ、と撤回すべきかとも思う。展開が「ポップ」なんです。世代が違うんです。これ良い悪いのはなしでなく。ジョー・ヒルがキングそっくりに書けないように、キングもジョーみたいには書けないのね。当たり前なんですが。納得。
ずごく面白かったけど、これを「めでたしめでたし」と納得させてしまうジョー・ヒルの力量なんなんだという感じ。

そういえば、たまたまキャロル・オコンネルの新邦訳「吊るされた女」というのが出るらしく見つけて喜んでおります。邦題はCrime Schoolだと思うのですが、う〜んたしかに内容は「吊るされた女」の話ではあるのだけれどなにかいい邦訳ないかしら。この本ではキャシーのストリートチャイルド時代の姿が併行して描かれるのです。これも読んで泣いちゃった本ですが。「愛しい骨」が売れたのでまた邦訳がでる運びになったのかしら。ついでウインター・ハウスがでるといいけどなあ。これは邦訳済みだったか?それともDead Famaceだっけか?まあいいや、7月に新作のペーパーバックが発刊されるので待ち遠しい自分であります。はっはその前に「午前零時のフーガ」と「ドラゴンとの舞踏」あるのですが…