ゾウさんと下駄屋

時折ふっと思い出す幼少の日々。小学校3年の頃、学芸会なんぞというものでもあったのだろうか「オペレッタ」なるものを学校でやった覚えがある。二回ほど転校しているもので、ずっと定点観測できていたら多分認識出来ていた筈の事が、このせいで記憶がブツ切れになっており、ただでさえ芒としていた幼少時代がほとんど空白状態なのだ。
まあ当然その他大勢役で傍観していた私だけれど、主役をやった(というよりやらされた)男の子の顔がなぜかえらくはっきりしているのが不思議なのである。
選ばれたのは「可愛かったから」でないことは明らかだった。毬栗坊主(その頃でも珍しかった?)の、テルマエロマエでいう「平たい顔族」そのもの、じゃりんこチエにでてくる子分みたいな顔の子だった。
きっと頭が良い子だったのだろう。それとも音楽的才能があったのか。ただ、何度も何度も教師にダメ出し喰らって泣きそうだったのを思い出す。
で、すぐに転校してしまったのでそれが夢の中のことなのか、本当にあったのか今や不明なのである。ここまではっきりしているからには本当なのだろうとは思うのだが。若い頃は随分、記憶が脈絡の無い断片となって頭の中に浮遊していることが苦しかった。
自分の歴史を定かにできないということは今の生活の立ち位置まで脅かす不安のタネとなる。「自分の根っこ」を持って育って来れた人の「自信」とやらをみせつけられるにつけ、我が身の精神の脆弱さを呪うことになる。
記憶を確認共有してくれる人が居ないというので、結局自分を信じられなくなるというのが悩み。どなたか「オペレッタ ゾウさんと下駄屋」を知ってる方あるだろうか。それとも、あれはオリジナル脚本だったのか…