金沢高等学校の5

この項はこれで終了。それにしても、今ではこのように中学校(=高校)を中途退学して暫く「遊学」し今度は高校(=大学)に編入などところころ学校を変える例は余り無いと思うのだが、この頃は珍しくなかったのだろうか?
「坊ちゃんの時代」(関川夏央・谷川ジロー)のなかにある森田草平の経歴を見ると、ちょっと今の感覚ではないということは想像に難くないとしてもだ。
ともあれ、先週図書館で見つけた「岸清一」(松江中学の第一期卒業生、政治家)の伝記をめくっていたら尋常中学のこともあったようなので機会があればおいおいその件も紹介しようかと考えている。

序ながら当地方にある島根県第一尋常中学校関係者御報道申上候、尤も各人の宿処は先に西村君より御通知ありたる筈なればそは子茲に略す

高等学校在学中のもの、
文科 喜多川實
法科 福間千市 西村清之助 中村了
工科 篠原甚市 青戸義一 石原虎太郎 桑原郁三(休学中)
医科 足立捨次郎 舟木重次郎(志願中)

右の内石原虎太郎氏は明治26年頃松江中学にありしが、後退学して東京に遊学し、昨年郁文館を卒業し、当地方に来りたるものに候、

その外
第四高等学校医学部教授  山崎幹
石川県尋常中学校教諭   河島松太郎
石川県尋常中学校教諭   広戸保
陸軍三等軍吏正八位    石飛行一

等は皆松江中学校に関係ある人なり、


その内石飛行一氏は明治24年頃第四級にて松江中学校を退学し、その後東都に遊び、昨年陸軍経理学校を卒業して、三等軍吏となり、金沢に師団の建築せらるるや、工兵第九大隊本部附を命ぜられて当地に来りたる年少有望の士官なり。