ドロレス・クレイボーン

ドロレス・クレイボーン


「ドロレス・クレイボーン」    ステイーブン・キング  文芸春秋 ISBN:4163158103 C0097


その昔ペーパーバックを買って読みかけ、読み終える前に邦訳が出たといういつものパターン。十数年前に読んだと思われるが、その頃はインターネットはやっていなかった(否、普及していたかどうかもあやしい】のでここに改めて書いても問題ないだろう。


ビデオを見て出来がよかったのでもう一度読んでみようかと思った次第。本当にキングは上手いよなあと感心する。読み返してみれば結構映画は設定を変更したりしているとはいえ、やはり原作の味を損なわずにうまく脚本化しているのがよくわかる。
もちろん「キングの真骨頂はホラーにあり」というところがある。映画の方は焦点的にはずらしてあるにしても、とてもよく出来た母親と娘の人間ドラマになっているのだった。ホラー部分を抜いてもキングの作品は自立してゆけるだけの物語があるということの証明だろう。シャイニングなんて泣ける父子の物語だしね。
この映画も俳優陣のうまさが際立っているからここまでの作品になったのだろう。


今回「黙秘」と共にワイルダー監督の「あなただけ今晩は」を手に入れておきながら、途中までしかみていない。ジャック・レモンを見ていると、可笑しさより切なさの方が勝って来る。心が痛い。「アパートの鍵貸します」もだったが。どこが「喜劇」だよ、と言いたくなる。
それにしてもシャーリー・マクレーンやその他の娼婦が着ているドレスの奇抜さデザインのうつくしさ。感嘆する。裾から首元まで微妙なラインを描きながら延びて行く一本ファスナーの通ったワンピース。眼を見張った。
そのほかどういう型紙で裁断したのか聞いてみたくなるデザインのドレス。勿論本人にあわせて直裁ちした一点ものだろう。こんなドレスをつくれたら夢のようだと思わされる。
また数日天気が荒れそうだから、降り込められたら続きを見ようっと。