スキャナー・ダークリー

スキャナー・ダークリー 特別版 [DVD]



スキャナー・ダークリー」    

フィリップ・K・デイック原作の映画化。実写をアニメ画像ふうに処理している。美しい。
こういう風に画像化されてようやくこの作家の意図が分かったような気がした。レムとともにこの作家の作品は自分には難しすぎて何回読んでも解った気がしなかった。しかも読んでも記憶に残らない不思議な作家だった。


このDVDにはデイックの娘さんを加えての解説があって、ようやくこの作家を理解するには
このひとの生きた時代をふまえて考えることが不可欠なのだと今回知った。
トム・クルーズ主演の「マイノリテイ・レポート」をちらりと見た限りでは、近未来管理下社会の恐怖と云う主題を超えるような哲学的深まりは感じなかった。「ブレード・ランナー」を見た時は画面がやたらと暗い印象だけで、えらく重い主題らしいんだけどそれが何かよくわからなかった。(もちろん不気味な美しさは感じた)


この「スキャナー・ダークリー」は特殊な技法とあいまって観客に面白い感覚を喚起する。手当たり次第に読んでいれば趣味に合わないとか、膚の合わない作家というのはあるわけである。でありながら、なぜか気になってならないレムとフリップ・K・デイック。むこうのレベルについて行けない悔しさがある。たしかデイックの解説書みたいな本を図書館でみかけているのでそれを開いてみるとよいかもしれない。


おなじくDVDで「あなただけ今晩は」をとりあえず最後までまわしてみる。
どこかのサイトに「完璧。隙がない」とかいてあったが、同感。すごい完成度。しかも背景である街のうつくしさ。アメリカの古き良き時代の最高レベルの映画というのには、時代を超えて感嘆の念を覚える。贅沢としかいいようがない。ジャック・レモンの関連書というのはないかしら。シャーリー・マクレーンの自伝を拾い読みする方が正解か。
ヘンリー・フォンダの自伝には「ミスター・ロバーツ」の関連で書いてあるはずだ。