高等師範学校

次は高等師範学校。どういうスタンスの学校なのか分かりにくい。師範学校というものがあるのでその上級といいえるのだろうか。中学校あるいは高等学校を出ると尋常小学校の教師の資格が得られる様子ではあるが、この学校を出ると中学校以上の教師の資格がもらえるというところだろうか。
手紙文というか候文はあまり好きではない。定型といえばそうなのだが。

3.3 高等師範学校概況 外部会員 高橋勝


(2号 47頁〜50頁)


拝啓何か投稿せむと存し候処、別に御参考ななるべき学問上の研究も致し居らず候につき、学校の情況めきたるものを書き連ね、御送附致候。
御承知の諸君も可有之候が我高等師範は本郷湯島にありて、神田川を挟み、駿河台と相対し、向ひには、ニコライの会堂高く聳え、西は女子高等師範に、東は教育博物館に隣し、土地は高燥に御座候。


校舎は1棟だけ赤煉瓦にして、余は悉く木造、構内は至て挟遇隘を告げ居り候、生徒の数は何程かには記憶致し居らず候へ共、400には達せずと存候。之を科目より分類致候時は、研究科、本科、専修科、選科にして、費用より申せば、官費と私費との両種に御座候。研究科、選科、及、或専修科は私費生にして、本科及、或専修科は、官費生に有之、尤、官費生の内、本科は専修科より、多くの官費補助を受け居り候。

目下官費の専修科は、英語、数学、国語、漢文の4科、私費専修科は、地理、歴史、国語、漢文の2科にして、専修科は迫々官費の分のみに相成可くと、噂致す人も御座候。専修科とは、学校より特別なる目的を以て或課目を専修せしむる為に募集致候生徒。選科は当人より1科或は数科を選択する生徒。本科とは、学校本来の所定の課目を学ぶ生徒。本科、専修科等の卒業生、及、高師と同等以上の学校たとへば大学を卒業せるものが尚進んで教育的に、或学科を学ぶ時は、之を研究科と申候。


本科も今年より、文科は、地理歴史、国語漢文、英語の4部に、理科は、博物、数学、物理化学の3部に分れ申候。追々には、大学とせん見込なりと、校長より申され候事も有之候。

本科の年限は4年、其他は色々にして、官費生には、義務年限とか何とか八釜しき箇条ありと承り候へ共、文略仕候。