かいだん

とある総合病院に知り合いを見舞いに行く。
まだそう焦ってはいないものの、さすがに込み合う待合室周辺にはマスクをかけた姿のヒトが結構みられるようになってきた。見舞って帰りがけに、エレベーターを待っていたが当然ながらなかなか来ない。
同じくエレベーターの前に40がらみの白衣の女性がマスクをかけて立っている。どうみても看護士ではないが職員。

ようやくエレベーターに乗り込んでから、ふと尋ねてみた。「あの〜、隣の階段は使ってもよいのでしょうか?」
「階段とはどの階段の事です?」ときっぱり尋ね返される。いや、エレベーターの横に階段の入り口があるでしょうがと内心つっこみつつ、「ええと、非常階段ですかね」と言ってみる。
非常階段なら、使えないでしょう」と言い捨てて扉の向こうへ消えた。

一階の階段のところあたりに「関係者以外立ち入り禁止」と表示があったような気がして、インフルエンザ対策の関係で使用するなというふうになっているのかと尋ねたつもりだったのだが。
あれを使う方が気分も楽なんだけどと思ってきいたのですけどね。
見舞客風情が病院職員にものを尋ねるとは畏れ多かったのか、単に精神が燃え尽き状態だったのかはしらねど。

もやもやしながら帰途につく。
そういえば他の大きな病院に勤める看護士さんが病室かなにかの場所を尋ねられて普通におしえてあげたら「こんなに親切な看護士さんにはじめてあった」と涙を流して喜ばれたそうだ。
いったいどんな病院にいままでいたのかと不思議だと云っていたのを思い出す。

さいきんの医院で「○○様」と呼ばれるのもいい加減気持ち悪いが、これはこれでこわい。
醫は仁術なりとぞきく。