一瞬の風になれ

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-  一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-  一瞬の風になれ 第三部 -ドン-


「一瞬の風になれ」1   佐藤多佳子 講談社 ISBN:4062135620 C0093
「一瞬の風になれ」2   佐藤多佳子 講談社 ISBN:4062136058 C0093
「一瞬の風になれ」3   佐藤多佳子 講談社 ISBN:4062136813 C0093

さすが目黒考二絶賛?の作品。
あさのあつこ」の「バッテリー」にはまった方でしたら、この本は完璧にあなた好みの作品です。


天賦のサッカー選手である兄貴をもつ「シンジ」君は、兄貴と自分の才能の差を感じながらも中学までサッカーをやってきた。高校になって行き詰まりを感じていた彼は、これ又天性のスプリンターである幼なじみの「連(れん)」と同じ高校になり、これまたひょんなことから陸上部に入部することになる。
気まぐれで何を考えているのか理解出来ないけど、連には「才能」がある。奴が走ればオレは必ず背中をみるだけで追いつけない。それでもあいつと勝負したい!いつかあいつと肩を並べて走りたい。沢庵頭だの、ターミネーターだのとからかわれるシンジには「才能」があるとは自分では思えないが、サッカーで鍛えまくった体力がある。
語りはシンジの一人称。飄々としたおおらかさとユーモアがあって、そのうえ登場人物は極めつけの個性派揃い。笑えます。


やあ、君たち青春してるねえ!というところで大変後味もよろしく上質の物語でした。
クラーイ気分になったら是非この本をひもといてくださいませ。きっと、救われます。


そういえば高校時代に憧れていたひとが、陸上部でした。こんな思いをしながら部活やっていたのか知らんと思いました。 (加えて、音楽部掛け持ち。嬉々としてソロで歌っておられました。ちょっと変わったお方ではありましたが)もともと非運動系人間なので想像つかなかったなあ。なるほど、運動系の思考回路系統が少しわかったような気がする。