しゃべれどもしゃべれども

しゃべれども しゃべれども


しゃべれどもしゃべれども」   佐藤多佳子 講談社 ISBN:4104190012 C0093

たしか他の作家の作品に「歩けども歩けども」というのがあって、映画になってますね。頭の中でごっちゃになりそう。
それは別にして、この作家語りもキャラクター設定も絶妙。
今回はなかなか脱皮出来ない噺家二つ目の主人公が、どういうわけか素人4人相手に「まんじゅうこわい」を稽古しなくちゃあならなくなるという顛末を描いた話。


それぞれ落語とは全然関係ない個人的な人生の問題を、「まんじゅうこわい」を覚える事で突破口を開こうという事にはなったが、はて実のところ教える方も教えられる方もそんなことで問題が解決できるとは殆ど信じていない。
だいたいが主人公自身高座にあがってもろくに笑いもとれずに煮詰まっているという噺家で。


談春の「赤めだか」を一緒に読むと、非常に効果的かつ楽しめてしみじみ味わえます。どちらもおすすめ。