20世紀最後の戯曲集

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)  20世紀最後の戯曲集


「川は静かに流れ」  ジョン・ハート  早川書房 ISBN:9784151767029 C0197

「20世紀最後の戯曲集  野田秀樹 新潮社 ISBN:4103405120 C0093

これほどバランスのとれた物語に出会ったのは久々である。さほどスピード感もないのに巻置く能わざる話の運び。
登場人物の性格もはっきりして曖昧なところが無く、しかも整合性に充ちたミステリー。最後まで犯人が誰かという確信が持てないが、その動機ほかほか明かされればちゃんと腑に落ちるところがいい。
今風に言えば「ぶれていない」と言う所、当たり前のようでいてなかなかないものである。流石「アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞」受賞作。読んでみて損は絶対無い。
第一作が「キングの死」だそうで、これもかなり評判が良かったようにどこかで読んだ覚えが有るから力量のある作家さんなのだろう。 結局一晩で読んでしまった。次にこの作家を読む時は気をつけないと徹夜になって非道い目に合いそうだ 。

「20世紀最後の戯曲集」
所収「Right Eye」「パンドラの鐘」「カノン」
「Right」は「正しい」「Left」は「残された」。なるほど妙に符合する。この「感性」がやはり「戯曲作家」ならではなのだろう。 妙に怖い話。「パンドラの鐘」は蜷川組の方を動画で観る事ができる。まだ通してはみていない。
同じエンドレス・ループ?の話にしても官九郎のものと比べ話運びがここまで違いますかと言う感じ。野田組と蜷川組比較したら「戯曲」と「公演」の関係とかそこから創出される何かについてヒントが与えられるのだろうかなどとぼんやり考える。
演劇って何なんでしょうねとほとんど観た事も無いくせに問うてみる。
パンフレットに野田秀樹が書いた文章を読んで戯曲を読み、戯曲を読んだ後にもう一度読み返す。背筋がぞくっとするようなふしぎな感覚に襲われる。 それだけでも野田秀樹はすごい。
現場をみたら精神まるごと飲み込まれる虞れ有り。くわばらくわばら。そろりそろりと歩むべし。

「とんどさん」です。広場に山から切って来た竹を建て(地面から荒縄を放射状に結んで渡して垂直に立てる)その下に持参した注連縄飾りほかを置いて火をつける。下はボウボウ、竹は逆さ箒みたいに空を指しています。
他の地域では竹を十字に組んで日の丸の扇とかの飾りをして数日前から建てていたりします。
「なかなか枝の上まで(火が)上って行かないねえ」とお年寄り方が言っています。昔は軒数が多かったので積み上がった正月飾りから火が天辺まで燃え上がり見事に燃え尽きたということらしい。
今はひとしきり燃えて熾き火になりかかったら荒縄を地面から解いて火に投げ込み、倒れた竹の先端は切って同じく火にくべる。
お神酒をいただいてそのまま帰ったので、ここの生まれの旦那さんに「それからあとはどうするの」と尋ねたら、子供がたくさん居た時代はそばの神輿のおいてある建物に熾き火になった炭を持ってきて餅などを焼いて食べていたそうです。
いまや小学生が数人という状態なのでここではもうずっとそういうことはやっていないようです。