ポーに捧げる

ぼくらが子役だったとき  ポーに捧げる20の物語 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1831)



「ぼくらが子役だったとき」  中山千夏  株式会社金曜日 ISBN:9784906605460 C0076


「ポーに捧げる20の物語」 スチュワート・M・カミンスキー編 早川ポケットミステリ1831 ISBN:9784150018313 C0291


「ぼくらが子役だったとき」
中山千夏と以下の人物の対談集:松島トモ子小林綾子長門裕之浜田光夫、四方晴美、柳家花緑小林幸子和泉雅子、水谷豊、風間杜夫矢田稔弘田三枝子和泉淳子梅沢富美男
中山千夏は「ひょっこりひょうたん島」の「博士」の声あたりから知っている元子役。とても頭がいいひとではっきりモノを言う所が好きだ。頭の中では「中村メイ子」「神津カンナ」とならんでいる。まあ、カンナさんが子役かと言えばちがうのだろうけど。(彼女同い年くらいか)浜田光夫は昔の映画で見た。風間杜夫は刑事物のTVで犯人役かなにかでみた覚えがあるが、意識したのはやはり「蒲田行進曲」。水谷豊はデビュー作の「ヴァンパイヤ」しっかり見たのを覚えている。原作の手塚治虫が好きだったもので。と並べてかいてもどうなる、ということなんだが面白かった。


「ポーに捧げる20の物語」
本格的オマージュの作品集。おすすめである。ポーはひととおり読んだ筈だが今になってはほとんど覚えていない。というところが我が身の凡庸さを象徴しているようで哀しいが、べつにそこまで思い入れがなくとも十分に楽しめるものでした。高校の頃だったか英語の教師が「アナベル・リー」とワーズワースの「水仙」の詩を印刷して下さり一時暗誦していたのを思い出す。韻文の美しさとはこんなものなのかとしみじみ感じ入った。声に出して読むとその美しさがよくわかる。


The Bodies Left Behind ジェフリー・デイーヴァー
めぼしい本がなくなったので読み始める。この人の作品ジェットコースターなみのエンターテイメントで走り始めたら止まらない。
130頁(まだ4分の1にもゆかず)なのに既に主人公窮地を脱する事3回。女性の警官なのだが非番で、たまたま手が足りなくて911番をかけてきた物件の確認業務に駆り出されたところ、それが森林公園の中のプライベートな湖畔の別荘だった。ほとんど人通りも無い道路沿い、プライベートで訪れた弁護士夫妻が突如二人組の男に押し入られ咄嗟に携帯で911に通報したのだった。何を目的なのか即時この男達夫妻を射殺、生憎と同行していた知り合いの女性が思わず手にした拳銃で犯人の一人の腕を撃って森の中に逃げた。この男達がまだ家にいるうちに主人公がやってくる。そこからハラハラドキドキの展開が。

主人公には気の毒な事に逃げ延びた女性というのがデザイナーズブランドで固めた自称女優で、足まで挫いている。犯人に見つかったら即殺されるという事態なのに「足が痛い」だの「腹が減っていやだ」だの「そんな死人=友人が履いてた靴なんぞ履けない」(ヤワなしゃれたブーツなんぞで山の中は逃走出来ない)など言いたい放題。おまけに「毎日シェイブアップで走っているけど、山の中を何哩も歩けないし」とくってかかる始末。これは、都会派トレーニング族にたいする戯画像なんだろうか?

ま、男の一人はどうもプロの殺し屋らしくいくら罠をかけても逃走経路を偽装しても見破って執拗においかけてくる様である。警察の上司は夫婦でデイナーパーテイでほろ酔い加減で「911かけたのは間違いだっていったんだろう?放っておけ」と言っているから当分助けは来そうにない。って、なんだかこっちの心臓があやういぞというくらいにおそろしい状況に。ま、これ以上書くとネタばれになるのでしばらくは黙って読んでみる事にしよう。