殺人者たちの午後

幸子さんと私―ある母娘の症例   殺人者たちの午後



「幸子さんと私」ある母娘の症例  中山千夏 創出版 ISBN:9784924718951 C0095

「殺人者たちの午後」  トニー・パーカー  沢木耕太郎訳 飛鳥新社 ISBN:9784870319592 C0098

「母親」という「神話」
この本のなかでも言及されている佐野洋子の「しづこさん」と併せて読んでみると良いだろう。ついでと言っては失礼になるが萩原葉子の「朔太郎とおだまきの花」もある意味同じ系統のはなしであると思う。世に「奔放な」とか「妖婦」だのと称される女性は結構珍しいものでもない。別に本人はそう思ってなっどいない。言う方の側の事情だからだ。「宇野千代」だって朔太郎が生きていた時代はかなり胡散臭い眼でみられていたのではないかと思うし、瀬戸内晴美という作家もそういう言われ方を随分したと確かご本人が言っている。などとぐたぐた言っては見るものの、実はそれはこの本の本筋ではない。確かで重要なのは「書く事が自己カウンセリングになる」ということかな。家族関係で悩む女性にとって多分重要な参考になる本の一冊。

原題は「Life after Life」
英国では終身刑のことを「Life」というらしい。これは殺人の罪を犯したとして終身刑になった人々への個人的なインタビュー集。受刑がどういう仕組みになっているのかよくわからないが、受刑態度がよろしければ刑務所から出て市井で生活する事もできるらしい。勿論転居する度に所在を報告せねばならないし、周辺地域で犯罪が起きれば否応も無く真っ先に不在証明を調べられる。定期的に担当者の保護観察管のところに出頭して生活状態を報告する義務もある。置かれた境遇もさまざま、犯した殺人の状況もさまざま。もちろん性別年代もさまざま。感想はいえませんが、沢木耕太郎がこの本を撰んで訳したということに注目してみたい。彼の訳文はさらりとして癖が無い。それでいて味があるというのは変な言い方かな。


新井素子さんが7年ぶりだかで新作を出されたそうです。どっかで探さないと。
購入も視野にいれて。