魔術師

駅路 最後の自画像  攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 眠り男の棺 (徳間デュアル文庫)  魔術師 (イリュージョニスト)  黄昏 (ほぼ日ブックス)


「駅路/最後の自画像」  松本清張 向田邦子 新潮社 ISBN:9784103204381 C0093

攻殻機動隊 眠り男の棺」  藤咲淳一  徳間書店 ISBN:419905149x  C0193

「魔術師」イリュージョニスト  ジェフリー・デイーヴァー  文芸春秋 ISBN:4163234403 C0097

「黄昏」(たそがれ)  南伸坊 糸井重里 東京糸井重里事務所 ISBN:9784902516302 C0095

やれやれあっという間に四月になりそう。
久々に向田邦子関連の本をあたらしく見つけたのでさっそく読んでみる。
原作「駅路」は松本清張の短編、その短編を上り調子になりかけた時代の向田邦子がTVのために脚本化したのが「最後の自画像」。
どちらも読み応えがある。当時の映像は残っているかどうかはわからないが、のちにまた別のキャストで映像化されたというだけあって名作なのだろう。
本当に久々に松本清張の文章に触れたというのは収穫のひとつ。読んでいたのが中高校時代だったので「難しい漢字の作家」というか社会派の読みにくいイメージが染み付いていた。が実際に読んでみると分かりやすく簡潔で整然とした良い語りだと気づく。
この作家は多作なので全集もあったはず。そう数を読んでいる覚えはないし、あらたに読み始めるのも良いかもしれない。
短編をどのようにふくらませ脚本として仕立てるかという術を考えるのにはいいかも。原作脚本ともに味わい深いものがあった。

攻殻機動隊
映像でひととおり見ることの出来るものは見たが、いまだ全容が頭の中に描けないこのシリーズ。
あまりに親近感を伴うようになってしまったこの電脳化という世界観も不気味ではあるが、もっと不気味なのはその底流に蠢いているもの。
好んで見たいものではないのだけれどそれがこのアニメーションを重厚にしている。ノベライズということなんだが、ノベライズらしからぬ面白さ。(おい!)
娯楽という分野の隆盛は、才能を持つ人材の数と在処を示してもいる。そういうことを考えさせられる。
ある意味「表現するための才能」というものは普遍的な部分があって、多分どの世界にいっても突出する人材というのはあるのではないか。その人材をどういう方向へ向かわせるか、包有するかというところで流れが出来るのかもしれない。
要するに、この執筆者が一時代前なら映画界で脚本家や監督を目指していたかもしれず、あるいは作家を目指しているかもしれない、その人材がいまやアニメーションの脚本家、原作者として活躍しているということへの感慨に過ぎないのだが。

「魔術師」は再読。にもかかわらず、やはり面白い。やめられない。傑作である。

「黄昏」
南さんと糸井さんの緩い会話がめちゃくちゃ面白い。しかし、おなじくらいにすごいのが、南さんの奥様。
いったいどういう人なんだ。眠り猫の着ぐるみを仕立て、アシスタント兼カメラマンほかほか。どういう才能だ。

ハリーポッター最新作まで見る。くらい話である。友情をテーマにしているのだろうが、なんだか「主人公に他人を信用させなくなる」展開がわらわらとつづくのは逆効果のような気がするのだけど。
原作は読まないつもりだったが、最終作は今年公開という話なので結末がわからない。最終巻をのぞかないと収まらないことになりそうな。
これを「はまった」と表現するのはいささか忸怩たるものがある、ってなぜそこまで抵抗する…
冬が戻って来た。寒いっす。そういえば、知り合いが昇進?した様子。おめでとうございます。