タルト・タタンの夢

特殊防諜班 組織報復 (講談社文庫)  特殊防諜班 連続誘拐 (講談社文庫)  タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)  すれ違う背中を




「特殊防諜班 連続誘拐」  今野敏  講談社文庫 ISBN:9784062762779 C0193

「特殊防諜班 組織報復」  今野敏  講談社文庫 ISBN:9784062762212 C0193

「タルト・タタンの夢」  近藤史恵   東京創元社  ISBN:9784488012281 C0093

「すれ違う背中を」  乃南アサ  新潮社  ISBN:9784103710110 C0093

警察ものというより伝奇もの。平井和正半村良か、って言ったら怒られるのか。平井和正ウルフガイシリーズは四半世紀以上前になるのか…あのころはお金のない高校生でしたし半村良はともかく平井和正が図書館にある筈も無くというところではまらずには済みましたが。

今野敏さんすごいですね。何でも書ける。格闘技系がどちらかというとお得意であります。色っぽいのは自分はいまいちなのでちょうど良いけど、さすがにユダヤ云々の伝説のレベルに思考を飛ばすにはちょっと苦労した。そうとわかって設定を了解してしまえば別段問題はなしということで。四冊だったか並んでいたので行きがかり上最後まで読むしかない。なんだか懐かしい雰囲気ではある。って、20年以上の前の作品なのですか。当然か。でかい版の野生時代に、栗本薫の魔界水滸伝とか西村寿行とかが載っていたあの頃だったか、もう少し後になるのか。



近藤史恵は「サクリファイス」の作者。新作がたしか出ていた筈なのだが(書評を見た)まだ見つからない。
これなによ、と借りてみたら北村薫の円紫師匠シリーズばりのとても美味しいミステリーでした。北村薫の好きな方にはぜひともお勧め。仏料理のレストランのシェフが謎を解いてくれるのだが、アシモフ黒後家蜘蛛の会タイプの展開と言った方が分かり易いだろう。(ミステリー好きならね)


味音痴なうえにフルコースを食したのは我が生涯で片手に足りないくらいの人なもので、書かれている料理はさっぱりわからないがともかく美味そうではある。料理の記述でこれ以上のものは無いと思ったのは最近ではホワイトハウスのシェフだった人のノンフィクションだったけど、これも雰囲気的にはよろしい。「タルト・タタン」とは林檎のタルトなんだそうな。題名と装幀を見ると子ども向きの絵本かいなという感じである。

「すれ違う背中を」は、「いつか陽の当たる場所で」の続編というかシリーズ。
人が良すぎるのかもと思ってしまうような刑期を終えた二人が、ささやかに暮らして行こうとしている物語。交番のお兄さんが、これまたどこか抜けているところがご愛嬌。この作家さん、女刑事のシリーズもう書かないのか知らん。ちょっと残念だなあ。


more twistedを、サクサクとは到底言えないが読み続けている。短編のいい所は必ずしも勧善懲悪で終わらせなくてもいいことだねと、納得。殺人鬼がつかまらずに完全犯罪っていうのもありなのだ。(現実にそうだったら困る)こういう言語的に拙い読者であると「読むテンポ」というのが定まらなくて困るけど、それはそれなりに良い所もあるか。だって、邦訳文庫本早くて半日、遅くて二日で読み終わってしまうというのはいかにも勿体ないし。ということで辞書も引かないからわけわからないままに進めたりする。やっと「証拠」と「動機」の単語を覚えた。(って、綴れないけど)