マンハント

荒地の恋 (文春文庫)  マンハント―リンカーン暗殺犯を追った12日間



荒地の恋」あれちのこい  ねじめ正一 文芸春秋 ISBN:9784167559045 C0193

マンハント」 リンカーン暗殺犯を追った12日間 ジェイムズ・L・スワンソン 早川書房 ISBN:4152087692 C0022


「詩人」と書いて「ぶらい=無頼」と読む。
島尾敏雄の「死の棘」が一組どころでなく数組あるという、一種地獄のおはなし。それにしても、そこまで生活を破綻させねば「詩」わ書けないものか。基本的に詩は読まないので、田村隆一北村太郎は翻訳家としてしか知りませんが、ミステリー関係がご覧のように好きなものでこうして知ってみると随分お世話になっております。ケラーマンの殺人劇場などはもうリアルタイムで読んでいるので、我が身がそのころどういう生活をしていたかが思い出され感慨深し。


亡くなった頃に北村太郎と言う人が「詩人でもあった」と初めて知ったというくらい。と、このねじめ正一さんも直木賞受賞作は読んだ筈なのですが、特に印象はなく申し訳ない。今回読んでみて、このかたも「詩人」でいらっしゃると初めて知ったわけで。癖の無い文章なのでそういう意味では記憶に残りにくかったかと。
16才で詩人をめざした北村少年。そう言えば高校の時、ボードレールを崇拝していたらしき一つ下の文芸部員の男の子がいましたっけと思い出す。無頼どころか完璧なマザコンだと判じたのですが、向こうも「高村光太郎崇拝のあほ」と思っていたらしき、というところで痛み分け…。


マンハント
日本ではいくらハリソン・フォード主演でもヒットするとは余り思えませんが、もうこれは儲け物と言うくらいに面白いノンフィクションです。
歴史に疎いのでリンカーン暗殺のいきさつとか知識は全然ありませんでした。ということで、これはリンカーン大統領を暗殺したブースという舞台役者が逃走して捕まるまで、そしてその後始末という内容なのですが。もう時代背景から人物像がありありと描かれ、この時代の通信方法は庶民は口コミや新聞の号外、軍隊は電報という情報伝達を駆使していかに暗殺犯の逃走経路を追って行くかというその過程がつぶさに描かれて、
読者は手に汗握ると言う具合です。先日からシャーロック・ホームズのドラマとかを見ていたりしますが、情報伝達の手段が発達し、それにつれて生活がどんな風に激変して行ったかなどということも考えさせられます。

梅雨があけたら即猛暑。たまらないです。