畏れ慄いて

初陣 隠蔽捜査〈3.5〉  畏れ慄いて  雷鳴の夜 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


「初陣」隠蔽捜査3.5  今野敏  新潮社 ISBN:9784103002543 C0093

「畏れ慄いて」(おそれおののいて) アメリー・ノートン 作品社 ISBN:4878933690 C0097

「雷鳴の夜」  ロバート・ファン・ヒューリック  早川ポケットミステリ1729 ISBN:4150017298 C0297

なんだこの二人何だかだといいながら連絡とりあっているのか、とおかしくなる。いつもは明朗快活あかるいキャラを演技しているノンキャリアから見たお話の連作。それはそれで面白い。「オレは今忙しい。おまえにつき合っているヒマはない」とかいいつつも相談に乗ってくれる建前=本音の珍しい男と、ちょっと軽いキャラを演出しているしかし内心胆の小さい男。いいとりあわせです。これも「友情」と言えるのだろうか?否二人とも「とんでもない」って言いそうだなあ。

「畏れ慄いて」
メアリーではありません、アメリーですって間違える自分の方が変か。床下の小人たち絡みではなく仏国の若手作家。この女性は親が外交官でだった関係で日本で生活したことのあるベルギー人(?)ゆえに日本語ペラペラ数カ国語OKの才媛。是非ともと、自分から望んで大企業にOLとして就職したが…
始めのうちは腹を抱えて笑えますが、どこまでフィクションなのかわからなくなり状況は悪夢と化して最後は顔がひきつります。この話があり得るかもと思わせる日本企業のあり方っていったい何なのよ!今はどうなんでしょうか。ある日出勤したら自分の机が無くなっていたなどという経験もある身としては、相当「ノンフィクション」な気もする数々のエピソード。「おじさん改造講座OL委員会」とともに一読されると「カイシャ」の一面がご理解いただけることでしょう。こののちフランスで若干20代で流行作家となったという著者。ベストセラーとなったこの本の「毒舌」は冴え渡っております。
なんて日本の女性は可哀相なんだろう、と思われるのだろうなあ。


「雷鳴の夜」
早川ポケミスに入る時点で既に保証はされておりますが。なんとこの物語は革命前の中国?が舞台。それにしてもいくら素人の絵にしか見えないという記述があるにしてもこの「猫の絵」どうにかならんのか、と笑える。異色ですねえ。しかもミステリーとしてもちゃんとしている。このシリーズ買いだぜ!