ウルフ谷の兄弟

ウルフ谷の兄弟 (海外ミステリーBOX)


「ウルフ谷の兄弟」  デーナ・ブルッキンズ 評論社 ISBN:9784566024212 C0097

児童文学として良書。父親は遁走母親は病死、親類に頼れなくなった男の子二人兄弟が叔父の住む森の中の一軒家にたどりつく。が、叔父は妻を亡くして以来アルコール依存症。とうてい子供の面倒をみるような状態でなく。しかしここで叔父の家を追い出されたら二人は別れ別れにされてしまうので
家の掃除に料理洗濯。一所懸命追い出されないように努めるのだが…いつ住む所をなくすかも分からない、ふたりだけの家族が引き離されるかもわからない不安の毎日で友人をつくることもできない幼い子供二人の日常が、周囲に隔絶した森の影と重なってくる。
お涙ちょうだいでもなく、能天気な冒険ものに堕することもなく、ある意味森より怖い大人の世界に人生を振り回される
子供の危うさと恐怖が共感をよぶ。これで読書感想文を書けといわれたら困るけれども、子供に勧められる良い作品である。魔法があってもっと怖いのが好きなら「クラバート」がお勧め。これなら感想文書けるが、そのために読むには勿体なさすぎる。

大人は熱中症になりそうでヒーヒーいっているなかを、ぎゃぴぎゃぴいいながら小学校低学年が追いかけっこをしている「やっぱり、人間も動物であるなあ」と思う。このクソ暑いのに喘ぎながらもぐちゃっと体をくっつけてへたり込む様は、子猫か子犬さながらである。水を頭からかぶったように汗みどろになってハイテンション。そういうエネルギーを少し分けてくんなはい、この熟年に。


Roadside Crossesはとりあえず被疑者は確定、が逃走して行方が分からなくなる。そして第二の犠牲者が…
同時に前作?のつづきの関係でダンスの母親が殺人罪で逮捕されると言う騒動で、ダンスの心はふたつに引き裂かれる。
事の発端は、インタネーットのSNS?で生じたイジメ。そのイジメが現実の脅威と化して少年の家庭に及んだとき、仮想現実の中でようやく生き支えていた少年は現実に対して復讐をはじめたらしい、という方向にダンスたちの捜査が向いて行く。
この構造なかなか「リアル」
さてこれからどう発展して行くのか。デイーヴァーですからね、どう転ぶかはわからん。