沈黙の時代に書くということ

新参者   沈黙の時代に書くということ―ポスト9・11を生きる作家の選択



「新参者」  東野圭吾 講談社 ISBN:9784062157711 C0093

「沈黙の時代に書くということ」   サラ・パレツキー 早川書房 ISBN:9784152091550 C0098


いろいろややこしいお話ものかという心構えで読み始めたら、ひとりの刑事が触媒になって物語が解決して行くというか犯罪そのものより周囲の人々の方をメインにしたものでした。さすが東野圭吾はわかりやすい。うまい。テレビドラマで阿部ちゃん(名前ど忘れ)が主演だったようですが、きっとこれははまり役だったかな。すくなくとも白鳥警部よりははずれていない。どうざんしょ、加賀刑事シリーズというのもいいかも。


サラ・パレツキーは数冊読んだことあり。同じ頃にスカーペッタを読み出して、そっちのほうが性にあっていたのでその後読まなかったのですが。昭和22年の生まれ、キング牧師の周辺で公民権活動にも加わり、フェミニズムの中でいろいろ活動しという経歴。祖父母はポグロムによりヨーロッパ大陸からアメリカに単身移住したという家系で、その後のショアーで親戚殆どすべてを失っている。なんだか近代の歴史凡ての証言者みたいな経歴です。


V・Iシリーズ読んでみるか、と思わせるものあり。最近のスカーペッタ、なんかずれているしね。
ミステリーはともかくひょっとして今アメリカの思想的動静、かなり危ないんじゃないかという警鐘を鳴らしている本であります。自身がユダヤ系ということも、神経を尖らせざるをえない要因ではありますが、やっぱりやばい気がする。