生半可な學者

パパはマイナス50点 介護うつを越えて 夫、大島渚を支えた10年   生半可な学者


パパはマイナス50点」   小山明子 集英社 ISBN:4087813347 C0095

「生半可な學者」  柴田元幸 白水社 ISBN:456004290x C0095



小山明子大島渚夫婦の介護とうつの闘病日記。今は知らないが、一昔前の女優さんというのは芝居がしたくてなったというより経済的理由で継続せざるをえなかったみたいな方が多いような気がする。たまたまその業界にはいったけれど、できればやめたいと思いながら続けていたという記述が自伝なんかによく見て取れる。外見は派手だけれどそれはどうでもいい。家族を養う為に不本意ながらもつづけて結局演技に目覚めて、みたいなところがおおい。

小山明子さんもそんな感じ。で、助監督と恋愛関係になってというのもこれまたよくある話だけれども、熱烈な恋愛でしかも映画に対する同志にもなっちゃったというところもよくある話で、やはりそこのところ熱く語る大島監督に惚れちゃったのねと微笑ましい。ただ微笑ましいくらいで済めば苦労はしない。
脳梗塞で倒れた監督を一所懸命介護するうちに自分をおいつめた小山さんは鬱病になる。

映画を撮らせてもらえる、撮るには相当の苦労と臥薪嘗胆の辛抱が不可欠。けっきょく名監督の名の影にはこうした影の支えがなければ成立しないものらしい。それでも羨ましいなあというのは、ここまで熱烈に一緒に暮らせる夫婦もいるんだということ。そういえば、どこで読んだか聞いたか飲み屋さんの席で大島監督が嬉しそうに奥さんのお尻をなでているのを見て、何故そういうことするのと聞かれた監督が「他所の女の尻でなくて妻の尻を撫でても法律違反じゃないだろう」とか答えたとかいう話。 本当に惚れ込んでいるんだねえと感心した覚えが…

柴田元幸という翻訳家をちょっとかじってみる。最近作家ではなくこの「翻訳家」に焦点をあてた本が数冊出ていて気になり。が、菊池光とちがって大して灰汁のある文章でもなさそうな…ただいま探索中。 とりあえずエッセイをというところ。