迷惑な進化

十字軍物語〈1〉  古代ローマ人の24時間---よみがえる帝都ローマの民衆生活  迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか



「十字軍物語」1 塩野七生 新潮社 ISBN:9784103096337 C0322

古代ローマの24時間」よみがえる帝都ローマの民衆生活 アルベルト・アンジェラ 河出書房新社 ISBN:9784309225319 C0022

「迷惑な進化」病気の遺伝子はどこから来たのか? シャロン・モアレム ジョナサン・プリンス ISBN:9784140812563 C0047


西欧の叙事詩的ないいまわしに「血は川のごとくに流れ」云々というのがあるけれど、実際のところそれは「現実」を形容していたということらしい。
「神」の名の下に「神聖な」行為であるとして始めた十字軍の内実は、「異教徒を抹殺」することを目的にしたかのようである。
略奪、虐殺、意に従わない都市に侵入するや数万人の人々を凡て皆殺しにながらの行進というのも凄まじい。
想像をたくましくしたら読み進めないような血なまぐささに流石に閉口する部分あり。
これも「西洋」の歴史なわけですか。どれくらい続く予定なのか知らんこのシリーズ。
古代ローマの24時間」
面白くはあるのだけれど、著者の観点におもいっきり「西欧風バイアス」がかかっていてムッと来る。自分んとこの風習が違うからと言って馬鹿にしてはいけんだろう。上から目線とはこういうのを言うんだな。
ということで、まあまあ珍しくはあるのだが変にセンチメンタルな描写とかいらない意味付けとかが邪魔でしかたないのでとりあえず半分ほど読む。惜しいよなあ。出がジャーナリストだから変に煽ったり盛り上げてしまうのだろうか。
文化人類学的とはいえないようなコメントがなければ面白いのに。残念なり。

「迷惑な進化」
まず、装幀に文句付けたい。本の中身は文句付けよう無く面白いしためになる。長沼毅の極限環境学に通ずるところあり。
これは目からウロコ本です。免疫学、ペスト関係に興味がある方にも必見。語りは面白いし判り易く内容も充実。
本当にお勧めの一冊でなかなかこんなのには出会えません。
そうか、「鉄」は大事なのだなあ。