昭和30年

オットー・フリッシュの自伝のつぎに、法政大学出版の「フェルミの生涯」、中公新書の「オッペンハイマー」続けて読んでいると、どちらに何が書いてあったか忘れる。フェルミの伝記?はローラ夫人の手によるもの。「オッペンハイマー」は、上下巻の伝記があったけど読む気力がつづくかどうか判らなかったので短縮として新書を選んだがちょっと間違ったやも知れぬ。


フリッシュはオーストリアはウイーンで育ったユダヤ系。物理学のために当時のメッカであったコペンハーゲンに赴き学ぶ。ナチスドイツが隆盛を極め周辺の国を侵略し始めている頃ゆえ難民となってイギリスの研究所や大学へともぐりこみ研究実験を続けてアメリカに渡。マンハッタン計画の科学者の一人として活動するわけだが。
フェルミはイタリアの生まれ。若い頃から頭角を現して22才の時にはすでに大学で教える側にいた。イタリアはムッソリーニによるファシズムの時代。ヒットラーと手を握ったムッソリーニユダヤ系人種の迫害をはじめ、ユダヤ系であった妻と子供のためにノーベル賞授賞式を理由にスウェーデンに出国、そのままアメリカに亡命。


続々とアメリカのロスアラモスへと引かれてゆくというか集まることになる亡命者、難民としての物理学者たち。全然内容も書かれた時代も違う本なのだが、なんだか「歴史の妙」のようなものを感じさせる。
で、オッペンハイマーの出番はというとこの人はロスアラモスの研究所所長なのであった。といいつつ、このひとの生涯が語られる焦点というか舞台になるのは戦後ということになる。
似て非なる、というべきかそこが「研究」と「政治」との違いか、ずれがあらわになる。どの時代が「頂点」として語られるのかということによってなんですが。
やはりオッペンハイマーは上下巻を覗くべきなんだろうなと思った次第。


ちなみにフェルミは今でいう「アダルトチルドレン」?です。一つ違いの兄と双子のようにして育った彼だが、教育ママゴンだった母親と冷徹な父親は兄の方を溺愛していて、不幸なことに15才で兄は医療事故で死亡。結局両親は立ち直れなかったらしい。


て、何を読んでいるんだか。流石に初の原子炉実験の件はスリル?があった。ま、感想ほかはつぎの機会に。