ひまわり事件
「オッペンハイマー」原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか 中沢志保 中公新書1256ISBN:4121012569 C1242
「原子力の父フェルミの生涯」 ローラ・フェルミ 法政大学出版局 昭和30年 ISBN:
「ハタラクオトメ」 桂望実 幻冬舎 ISBN:9784344019669 C0093
「ひまわり事件」 荻原浩 文芸春秋 ISBN:9784163286402 C0093
「オジいサン」 京極夏彦 中央公論新社 ISBN:9784120042096 C0093
「サム・ホーソーンの事件簿」1 エドワード・D・ホック 創元推理文庫 ISBN4-488-20102-4 C0197
「サム・ホーソーンの事件簿」2 エドワード・D・ホック 創元推理文庫 ISBN4-488-20104-0 C0197
オッペンハイマーの伝記の方を選ぶべきであったようである。流石にロスアラモス所長時代から戦後の水爆開発への流れを新書の薄さで解説したら、表題すなわち主人公であるはずのオッペンハイマー自身のことについての記述が少なくなってしまうという事態になる。
何が主題なのか掴むための自分の集中力が尽きてしまった。残念、中途半端にして断念。
フェルミについては、これは夫人による伝記(というかその時点でまだ死亡、完結していない)
当時の時代背景、この人の祖国であるイタリアがムッソリーニによってファシズムの渦中となる過程も描いている。ノーベル賞授賞式を理由に出国し米国へ落ち着いたといういきさつも興味深し。
ナチスドイツと手を組んでいたムッソリーニの政治状況では、ユダヤ系軍人?の家庭に育ったローラ夫人は迫害対象であったのだ。
当時の若き物理学者たちにとって国境は有って無きが如し、というか相互に留学などしていたのでナチスが勢力を極めつつあった西欧のなかで留学や大学就職を理由に故国を脱出しようとした若者たちが大勢いたことがよくわかる。フェルミやボーアは既に大御所ではあったのだが。
かれらが結局米国へと逃れ、マンハッタン計画の主力として雇用され原爆開発推進の最先端を担う流れとなる。
今回何冊か読んでかすかにでは有るがその大まかなところを初めて認識出来た。昔読みあさっていたころは違う視点で読んでいたわけだ。(例えば「エノラ・ゲイ」とか)
「ハタラクオトメ」
もと中小企業の事務員やっていたせいか、身につまされること有りすぎてあまり楽しめず。が、やはりこの作品がそれでも「明るい」のは、主人公のキャラクターつくりが大成功だったからだろう。 ちょっと、否自虐を逆手にとって、という感じでは有りますが。
自分は醒めた事務員だったので、ここまで素直にはおじさん方に同情はいたしません、はい。
「ひまわり事件」
はじめは荻原版「クレヨンしんちゃん」かと思って、一旦中断。ふとひらいた「いんたあーましゅまろ」に吹き出して再挑戦。なんだこりゃあ!気がついたら、つかこうへいの「飛竜伝」?になってしまっていた。さすが、荻原浩。笑って泣かせてしんみりさせて又笑かす。お見事。
「オジいサン」
これこそわからぬ京極夏彦。延々と独白。いったい何処へたどり着くのか皆目分からず。そうか、これは「落語」だったのか。と、意味不明の事をつぶやき。さあご自分でご確認あれ。
途中頭の中が混乱したのは、「ひまわり事件」とこの「オジいサン」どっちも主人公の名字が「益子」だったため。どっちも爺さんが頭の中で自問自答を当分繰り返しているし。変な偶然だった。作家のあいだで流行っているのだろうか?
サム・ホーソーンようやくみつける。