ソ連とユダヤ系

ただいま「完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者」読書中。崩壊する直前あたりのソ連に存在した「数学専門学校」という存在自体が面白い、というべきか教育される者にとってはたまったもんじゃないソ連の教育制度という感じである。
「目指せ!金太郎飴人間!!」とばかりに、凡てのものが政治的イデオロギーに隷属するという、おそろしい社会組織。ここまでとは思わなかった。
一般に足並みを揃えることのできない突出した才能の持ち主が、ほとんど確実に潰されてゆく世界。
そういう社会であるにもかかわらず、というかそれゆえに「純粋培養された数学者ペレルマン」が成り立ったわけではあるけれども。じつのところこの方言動の方向からしアスペルガー系のひとではないかという感じ。
ある意味「裏の世界」が完璧に抹殺される旧共産主義国の組織に育ったということは、彼にとっては悪いことばかりでもなかったかしらんとも思うのだが、さてまだ半分しか進んでいないのでその「悲劇」はまだ示されずほのめかされるのみ。
アスペルガーが全くマズい障害というわけでもない。なにしろ、それまで誰も解くに至らなかった数学的難問を一人で解き明かすほどの才能を賦与されている彼。
してみれば、なにが幸いなのかよくわからないものである。これが、別の社会に育っていたとしたらどんな育ち方となっていたか。にしても、おそろしい政治的圧力。


ここに描かれているのはそんなに遠い昔ではないわけで、ユダヤ系に対しての迫害は続いているのだということがまざまざと書き連ねられているのがこれ又怖い。現在は、どういう状況なのかとふと考える。