ジュリア

リリアン・ヘルマン原作。ジェーン・フォンダほんとに親父さんにそっくりである。20代の頃にテレビの洋画劇場で見て釘付けになった映画。
それが縁で本屋でリリアン・ヘルマンの原作を見つけて、十年くらいしてから県立図書館で戯曲集を見つけた時には本当に嬉しかった。原題は「ペテイーメント」。彼女の著作をてに入るものはみな読んでみたけど、難しかった。時代の相違のために理解が十全にできないことがあるのだという無力感に襲われた。
全米に吹き荒れた赤狩りは、ヘルマンのパートナーだったダシール・ハメットどん底の生活におとしめる。友人を売る証言を拒否したためである。ヘルマンは裁判の場で「私は自分の良心を切り売りするつもりなはい」と言い切り、これが切っ掛けで時代が転換し始める。


がそれは、この話の後の時代である。この映画の舞台はナチスドイツがその勢力を恐ろしい勢いで増していた頃のウイーンとベルリン。
ヴァネッサ・レッドグレープがおそろしく美しく力強く見え息をのんだ覚えが有る。
彼女を見ると、いつも同級生だった女の子のことを思い出す。「青春まっただ中」で光り輝いていた。
きっと自分にとって「青春」の具現みたいな人で、この映画はそれとだぶってみえたみたいである。
「眠れない時代」「ジュリア」
ジュリアは実際はヘルマンの創作だという人もいるようだが、どっちでもいいや。映画の中でハメットがリリアンの余りの嘆きに「(ジュリアと娘を)忘れろ」という場面が有る。「だったらあなたが死んだ後にあなたは忘れられたいの?」とリリアンが返す。
創作であろうとなかろうと、ジュリアは忘れ難い。