目からハム

最初の刑事: ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件  目からハム シモネッタのイタリア人間喜劇  三谷幸喜のありふれた生活9 さらば友よ  月の上の観覧車



「最初の刑事」 ケイト・サマースケイル  早川書房 ISBN:9784152092120 C0098

「目からハム」シモネッタの人間喜劇 田丸公美子 朝日新聞出版 ISBN:9784402330284-6 C0095

「さらば友よ」三谷幸喜のありふれた生活9 三谷幸喜 朝日新聞社 ISBN:9784022508454 C0095

「月の上の観覧車」  荻原浩 新潮社 ISBN:9784104689057 C0093

トルーマン・カポーテイの冷血を思い出す。比較するのは当たっていないのだろう。
推理小説としてではなくノンフィクションとして読んだ方がより面白いかと思われる。ヴィクトリア朝時代は現実として生きた人々にとっては大変な時代ではあったが、読む側にとってはこの上も無く面白いものであると実感しながら読む。
大昔のように一見思っていても、よく考えればそう昔のことではないのであった。
産業革命により時代の流れがどんどん加速して行きはじめるこの時代、同時に社会のあり方も人々の思想もどんどん変化して行く。モンゴメリの作品のなかで女の子たちが「ヴィクトリア時代の遺物=時代遅れ」と冗談の種にしていたくらいの近い過去。
「またの名をグレース」と共に読むと、この時代の社会のあり方など考えるに面白いだろう。

「目からハム」
目からウロコではなくイタリア語では「ハム」。「ローマ最高級の三流ホテル」では抱腹絶倒。盟友?に米原万里を持っていただけあってとてつもなく可笑しく楽しい。しかし作者の息子氏、母親に似てエラい毒舌ではなかろうか。

三谷幸喜のエッセイ、今回は「おしまんべ」猫氏のご臨終。新顔至るとの紹介があったが、さてまだこのエッセイ続いているのか? つづくと今回以上に辛い話もしなくてはならないかもと、余計な心配。「さらば友よ」って映画ありましたね、チャールズ・ブロンソンアラン・ドロンだったっけ?

荻原浩の本は一人のときに読みましょう。電車の中で読んだら最悪です。出来は最高だが、滂沱と流れる涙を衆知の面前で拭きながらという羽目になる。お気に入りは「いとしの座敷童」と「押し入れのちよ」
有川浩と間違えて手に取るとマズいことになるので要注意。(「砂の王国」につづき今回も間違えた)