ねむりねずみ

殺す (海外文学セレクション)  ねむりねずみ (創元推理文庫)



「結晶世界」 J・G・バラード  創元推理文庫  

「殺す」  J・G・バラード  東京創元社  ISBN:4488016200 C0097

「ねむりねずみ」  近藤史恵 創元推理文庫  ISBN:4488427022 C0193

先月だったか今月だったか「殺す」が新しく文庫になると宣伝していたようだったので、これを機会にバラードの三部作とやらを読破してみようと言う試みであります。で、その昔学生時代に本棚に並んでいた割にはほとんど読み返していない作品。
結晶世界すなわちそのまま世界が結晶化という単純な設定なのであります。
読んでみて何故そのようになったかを理解いたしました。SF文庫で出ていたとはいえこれはSFというより不条理小説に近い。こんなに延々独白と風景描写がつづく鬱鬱とした物語の味が判るには若すぎたのよねきっと。といいつつレムの「惑星ソラリス」と並んで妙に気になる存在だったには違いありません。で、この歳になって改めて読み直した感想。名作だと思うけど、SFというジャンルと決めつけるのは間違いかと。
今回読んでて「白い闇」を思い出しました。書かれた年代のことを考えると恐ろしいくらいに先進的な作品だと思う。コンラッド?の「闇の奥」というのが(「地獄の黙示録」の原作?)長年気になってしかしまだお目もじしていないのですがこういう感じなのかもしれない。いやあ、名作でした。

「殺す」
後書きにある意味「予言」と書いてありましたが、たしかに。ただし、どこがと聞かれてもお答え出来ない「ネタ」の範囲であります。不気味。

「ねむりねずみ」
「凍える島」のあとにつづく第二作目が歌舞伎もの、というのもこれどういう人なのだろう。で今は時代劇に自転車ものですから。最後の詰めが少々甘いようなのは気のせいにしてもキャラクターの魅力的なこと。いいですねえ。門外漢にも理解出来るところが嬉しい。ちょっと北村薫テイストの交じった感じの雰囲気でした。
ちなみに、いちおう「解説」横に注意書きは書いてありますが「常識破りのネタバレ梗概」がそのまま書かれていますので注意って、編集者のひとこんなの許してどうするのよ。何考えてるのでしょう、完全に「犯罪」です。

ふらんす物語
永井荷風じゃあるまいし、と思ったらどうもそれからこの企画展の名前がついたようです、島根県立美術館企画展。
藤田さんはいまいち感覚が、とおもって期待せずに行ったらこれが無茶苦茶良かった。眼福。浅井忠、荻原守衛ロダンの歩く人、荻須高徳、須田国太郎、モジリアーニその他もろもろ名画家ぞろりと揃って目玉が飛び出そうになりました。今回はロダンの歩く人と荻原守衛のトルソを360度ぐるぐると巡りながらもう接近戦。
す、すげえ!最近男性のふくらはぎ筋肉フェチになっておるのですがもう完璧な造形でした。彫刻だったら、こんな筋肉いつまでもみていられるんだと感動。荻原守衛の女体も凄い迫力なのだった。できればもう数回眺めにゆきたし。