美しき姫君

ひとりで歩く女 (創元推理文庫)  美しき姫君  発見されたダ・ヴィンチの真作



「割れたひづめ」  ヘレン・マクロイ 国書刊行会

「暗い鏡の中に」  ヘレン・マクロイ 創元推理文庫

「ひとりで歩く女」  ヘレン・マクロイ 創元推理文庫 ISBN:4488168035 C0197

「美しき姫君 発見されたダ・ヴィンチの真作」 草思社 ISBN:4794217676



ヘレン・マクロイ4連発。几帳面に探している、と言いたいところだが実情は違う。図書館に着いた途端頭の中は更になり、次に何を読もうと思っていても思い出せないので行き当たりばったり。ほんのたまに作家の名前を覚えてるとなんとか探し出せるので、印象深い名前とか、いきつけの本棚の場所にあると集中して読んでいるように見えるだけ。とまあいっても、当然ながら好みでない作家にはなかなか手は伸ばさず。その点ヘレン・マクロイは申し分の無い出来の作家り。 面白い!のひとことに尽きる。意匠よし、性格描写よし、展開となってはどう転がるのか先が読めず。秋の夜長に布団に潜り込んで数冊持ち込めば、至福の刻を過ごせます。

「美しき姫君」
真作だろうが無かろうが、他国の庶民にとってはどうでもいいことになるのだけれど、この「鑑定調査」の詳細がとてつもなく興味深い。でもって、ダ・ビンチであろうがなんだろうがここまでの作品を顕微鏡的画面で見れるという楽しさは一級品。でも、ダ・ビンチでなくて他の誰がこんな作品描けるのよ、といいたくもなるくらいに良い絵だわ。これが油絵でなく「なめし革」の上に色チョークとインクと多少の顔彩で描かれているというのが又信じ難い。黄色の地に黒のチョークを載せると「緑色」になる、なんてパステルに慣れた人ならしっているのだろうけれど、これも驚き。 良い絵を見たわとしみじみ思える本でした。