美人画なるや?

あまりまとまったお休みがないので、どうしようかと考えつつ早起きしたついでに早朝2便目のバスに乗って街に出る。名探偵コナンか美術館か久し振りに市立図書館で神林長平の海賊シリーズをまとめて読むかと色々迷った末結局電車に乗る。
経費節減のつもりで快速電車にしたら、四時間近くかかりましてござる。石見美術館グラントワにて美人画コレクションなり。特急に乗ったら早いけどさすがに連休なので満席に近い。快速は満席でしたが終点の益田についたころはほとんどお客さんいなくなった。(当然か)いつか三保三隅で降りて石正美術館に行ってみたいが、特急だと益田から各駅停車で数駅もどらねばならない。またの機会に。

で、今回の企画展は福富太郎氏のコレクション。むかしテレビでこの人見たことがある。大金持ちの道楽というのではなく、節約に節約を重ねて買い集めた鏑木清方(かぶらき きよかた)を中心にした美人画のコレクション。そもそも幼いころにお家の床の間に大事に掛けてあったのが鏑木清方美人画で、戦災で焼けだされ燃えてしまったのだそうで、その記憶からこの人の美人画を集めだしたそうな。そういう懐かしみが動機になっているからか、本人にとっては意味があっても鑑賞する側にとってはなんだか面白みがないような気がする。動機としては足立美術館を作ったお方と一緒みたいなものですが。横山大観は多作な上にバリエーションが多いから見栄えがするのでありまする。(とまあ、見せてもらう方は勝手なことを言う)

ぞろぞろと鏑木の美人画を見て、他の作家のを並べてみるとあるいみてんでばらばらにも見えるところが面白い。
鏑木は名のある職業画家だからそれなりのレベルで、「売れる」画を生産しているのだなあという感じが並べてみるとしてくる。ほかの作家さんは福富氏には多分「浮気相手」で購入出来たものだから、作品は「売る」目的と「展覧会に出す」目的と「金は関係なしで描いた」というのと3種類くらいに分類出来て作家毎、作品毎レベルが微妙に違いが見えて来る。
勿論そんな「目的」関係なしで「高いレベルで文句なし」というのは、たとえば上村松園、甲斐庄なんとか、とか。とくに伊東深水のレビューの場面を描いた数枚の場面を並べて巻物にしていたものなどは滅多に見れない珍品で貴重もいいところだろう。

見ていたら、「何の目的で買うか」とか「何のつもりで集めるか」とかそういう所も重要だなあとも思えて来た。見開き2枚にデカデカとなまめかしい「人魚」が描かれてる屏風なんてどんな豪邸でも飾れないし。普通の家に油絵の200号を壁に飾れるような洋間がないのと一緒である。個人のコレクションといっても保管場所にも展示場所にも困るよなあと改めて考える。青木繁の「わたつみのうろこの宮」?が昔屋根裏にあって、恐ろしくてトラウマになったという孫がいたっけ。蔵に甲斐庄があったらそりゃあ幽霊よりも恐かろう。

とまあ、今年の連休はこれで終わりか(連休じゃないし)
久し振りに山陰線に長時間乗ってきれいな海を見て来ました。もちろん帰りは特急「おき」にて。