少年は残酷な弓を射る

少年は残酷な弓を射る 下  少年は残酷な弓を射る 上  サンザシの丘   霧のソレア  死をもちて赦されん (創元推理文庫)
蜘蛛の巣 上 (創元推理文庫)  蜘蛛の巣 下 (創元推理文庫)



「蜘蛛の巣」上 ピーター・トレメイン  創元推理文庫 ISBN:4488218075 C0197
「蜘蛛の巣」下 ピーター・トレメイン  創元推理文庫 ISBN:4488218083 C0197

「死をもちて赦されん」 ピーター・トレメイン 創元推理文庫 ISBN:9784488218157 C0197

「霧のソレア」  緒川怜(おがわ さとし)  光文社 ISBN:9784334925994 C0093

「サンザシの丘」 緒川怜  光文社  ISBN:9784334927097 C0093

「トゥルークの海賊」  茅田砂胡 中央公論新社

 「少年は残酷な弓を射る」上 ライオネル・シュライヴァー  イーストプレス ISBN:9784781607825 C0097

 「少年は残酷な弓を射る」下 ライオネル・シュライヴァー  イーストプレス ISBN:9784781607832 C0097




夏休み読書三昧の第二弾。といってもエアコンでもないと無理だわこの暑さ。昔は30度で酷暑だったのに今や36度を越えないと酷暑といえないような気候となりましてござる。
短編集からはいってしまいましたが、蜘蛛の巣がフェデルマシリーズの第一作で長編です。暑い中でこの世界に入門するのはちと辛いかもしれない。フェデルマも産まれたばかりで作者のキャラ設定が微妙に違います。
死をもちて赦されんは、ミステリー的には仕掛けが単純ですが、ワトソン君きゃらが初出で面白さが加わっています。

で、おつぎはジャケ借りしてしまった緒川怜(おがわ さとし)。
装幀の色具合が美事、ってそういうところばかり褒めてもまずいか。もう第一作からして達者です。霧のソレアで飛行機操縦に挑戦したら第三作のはサンザシの丘で刑事物に。多分まだ何を書こうか迷っているのかもとふと思ってしまった。電車の中で読むにはいいです。宮部みゆきのあんじゅうなんか読んだ日には号泣しちゃってさまにならないから。
ということは別の面でいうと、面白さもあるし話の運びも問題ないのだけれども、読者を「載せて」感情を盛り上がらせるというところだけが欠けているかも。読者というのは無い物ねだりの贅沢いいますけどさ。飛行機でいえば、離陸も着陸も達者だけどなんだか同じ高度でずっと飛んでいる気配がする。それなりに高いとこなんだけど成層圏逸脱するんじゃないかという程の乱高下がない。エンターテイメントとしては問題さほどないのですけども。いつか化けてくれるといいなあ。その基礎はちゃんとできているんですが、はて。


少年は残酷な弓を射る
邦題がなんともはや、一見文学趣味に開眼した思春期性自称詩人のかきそうな文句ですが、インパクト最大の諏訪敦を使った装幀にひけをとらぬ好い作品でした。おすすめの一作。親になるというのはこういう恐ろしい事態に陥る可能性もあるのだと、あらかじめ知っていたらまず子供つくる気にゃならん。何も考えないからできるのかも、と最近の殺人事件など読んでいて思います。